本当は一番怖い糖尿病の合併症

【医師監修】糖尿病で一番怖いのは合併症って本当?

糖尿病は3大合併症だけでなく病気にもかかりやすい状態

糖尿病の合併症で有名なのは、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害。これらを合わせて、糖尿病の3大合併症と呼びます。

糖尿病の合併症は3大合併症だけではありません。血糖値のコントロールが不良だと、免疫力がダウンして感染症にかかりやすくなったり、動脈硬化が進行して脳梗塞・心筋梗塞といった疾病を招くこともあるのです。

さまざまな合併症や関連病を防ぐためにも、正しい知識を身につけ、早期発見・早期治療に努めましょう。

本当に恐ろしい3大合併症

  • 糖尿病性神経障害(壊疽)

    糖尿病性神経障害は、3大合併症の中でもっとも早く現れる合併症。糖尿病に罹患してから6年ほどで、手足のしびれ・痛みの鈍化・発汗異常・ふらつきといった症状が見られるようになります。

    症状が進行すると神経が機能しなくなり、ちょっとした傷にも気づくことができず、細菌感染が発生。知らず知らずのうちに組織が壊疽し、最終的には四肢を切断せざるを得なくなります。

  • 糖尿病性網膜症

    糖尿病性網膜症が発症するのは、糖尿病になってから数年~8年ほど。初期段階では自覚症状がほとんど見られませんが、目のかすみ・視力低下と、徐々に症状が進んでいきます。

    網膜にダメージが蓄積すると網膜剥離を起こすことがあり、急激に視力が低下するだけでなく、失明する恐れもアリ。また、白内障・緑内障といった疾患の引き金になることもあります。

  • 糖尿病性腎症

    糖尿病性腎症が発症するタイミングは、糖尿病になってから10年ほど。3大合併症の中では、もっとも遅く発症する合併症です。たんぱく尿・むくみ・倦怠感・血圧の上昇が見られ、次第に腎機能が低下していきます。

    治療せずに放置すると腎臓の機能が完全に停止(腎不全)してしまい、最後は人工透析が必定な状態となります。人工透析になると、余命は5年ほどとも言われています。

生命に関わる合併症は他にもいっぱい

  • 糖尿病性大血管障害

    糖尿病性大血管障害とは、動脈硬化が進行することによって起こる合併症です。

    血糖値が高い状態が長く続くと、血管がダメージを受け続けて、太い血管での動脈硬化が加速。血管壁にプラーク(隆起)ができやすくなり、それが剥がれて血流をせき止めてしまうことがあります。それが脳・心臓などの重要な器官で起こると、脳梗塞・心筋梗塞といった疾病につながるのです。

    脳梗塞・心筋梗塞は命にかかわる重い病気ですし、命が助かったとしても、後遺症に悩まされる可能性が高くなります(半身麻痺・言語障害など)。

  • 歯周病

    高血糖状態が継続すると、身体の免疫力が低下。細菌感染によって起こる、歯周病にもかかりやすくなります。

    糖尿病を発症しやすい40代以上は歯周病になりやすい年代ですが、糖尿病患者は健常者に比べて歯周病が重症化しやすいのが特徴。歯槽骨の吸収スピードが速まり、気づいたときには歯が脱落しているケースもあります。

    また、歯周病の人は、糖尿病もしくは糖尿病予備軍である可能性が高いため、しっかりと血糖値コントロールをする必要があります。

古代からの因縁?!糖尿病と人類の長い闘い

  • 糖尿病の歴史

    人類と糖尿病の関係性を示す最古の資料は、紀元前1,500年頃の古代エジプトで発見されたパピルス紙。ここに、糖尿病と思われる症状が記されています。日本で最も古い糖尿病患者は、平安時代の貴族・藤原道長と言われており、のどの渇き・多飲・多尿といった症状が見られたことが、御堂関白記・小右記に記されています。

    それ以降も糖尿病と人類のかかわりは途切れることがなく、文明の発達・ライフスタイルが変化するにつれて、糖尿病人口はますます増加する傾向にあります。

  • 改善できる病気にはなった糖尿病

    糖尿病の原因は長い間解明されることがなく、いわゆる不治の病でした。

    しかし、1921年にバンチングとベストによってインスリンが発見され、糖尿病の治療は一気に進展。その後、さまざまな糖尿病治療薬が開発されるようになり、症状を予防・改善できるようになっていきました。

    発展目覚ましい分野ではありますが、いまだに一度かかったら完治することはない糖尿病。しかし、重篤な状況にならなければ、症状を寛解状態(落ち着いた状態)に持っていくことができ、普通の生活を送ることも可能となっています。

糖尿病は合併症を防ぐことが第一

糖尿病は、疾病そのものよりも、そこから引き起こされる合併症が恐ろしい病気。糖尿病の原因の多くは生活習慣が原因となっているため、自分の食生活・運動習慣をすみやかに見直し、改善していくことが重要です。

糖尿病の治療や対策は、早ければ早いほど内容が軽くて済み、寛解状態に持っていければ一般の人と同じような生活が可能です。しかし、治療が遅れたり・途中でやめたりすると厳格な食事制限・運動を強いられることとなり、合併症のリスクも高まるため注意が必要です。

合併症予防の目標値

血糖コントロール

HbA1c 7%未満

HbA1cのHbとはヘモグロビンのこと。過去1~2ヵ月の血糖の平均値を表すものです。 血糖値の高い状態が続いている場合は、HbA1cも比例して高くなってしまうため血糖値をコントロールすることが大切です。

血糖値

空腹時血糖値 130mg/dL 未満

1つ前の食事から何も摂取していない状態の血糖値です。(※水は摂取しても問題ありません。)血糖を取り込んで、エネルギーや細胞の増殖、タンパク質の合成を促す働きをするインスリンの量が少なかったり、うまく働くことができなかったりすると血糖値は上昇してしまいます。

食後2時間血糖値 180mg/dL未満

食べてから2時間後に測った数値が、 上記の数字を超える場合は注意が必要です。 健康な人の場合、食後140mg/dLを超えることはほとんどありません。 食後の血糖値が高い人は合併症を起こしやすいといわれています。

血圧

収縮期血圧(最大血圧)130mmHg 未満

拡張期血圧(最小血圧) 80mmHg 未満

心臓が血液を全身に送り出すために収縮する瞬間が最も血圧が高くなるときです。 血圧が高くなると、動脈硬化や合併症の原因にもなりうるため注意が必要です。

コレステロール

LDLコレステロール 120mg/dL未満

身体全体に脂質を運搬する役割を持つコレステロールです。数値が高くなればなるほど、 動脈硬化の原因になってしまいます。

HDLコレステロール 40mg/dL以上

別名、善玉コレステロールと呼ばれています。体内にある不要なコレステロールを集めて肝臓に送ってくれます。少なくなってしまうと体内に余分なコレステロールが滞ってしまい、合併症の原因になってしまいます。

non-HDLコレステロール 150mg/dL未満

全体のコレステロールからHDLコレステロールを差し引いたものが、non-HDLコレステロールです。この値が高いと動脈硬化のリスクが高まってしまいます。 中性脂肪が400mg/dL以上のときは、この値をコントロールするようにいたします。

中性脂肪 150mg/dL未満(早朝空腹時)

150mg/dLの基準値より高い場合は、糖質やエネルギーを過剰に摂取している証拠。 飲酒をしても数値は上がってしまうので注意いたしましょう。

糖尿病の食事は、基本的に食べてはいけないものはありませんが、バランスのとれたメニューで、必要な栄養素をしっかりと補給することが大事。不足分はサプリメントを活用するなどで、ストレスなく改善を進めていきましょう。

生活習慣の見直しで、合併症をはじめとするリスクを軽減

糖尿病を改善するためには、どの段階においても食事と運動が重要。合併症をはじめとする数多くの危険因子は、生活習慣を適切に見直すことで、大幅にリスクを減らせると言われています。

糖尿病の食事は、基本的に食べてはいけないものはありませんが、バランスのとれたメニューで、必要な栄養素をしっかりと補給することが大事。不足分はサプリメントを活用するなどで、ストレスなく改善を進めていきましょう。

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