酢酸の糖尿病改善効果

糖尿病対策に「酢酸」がおすすめな理由とは?

糖尿病対策に!血糖値上昇を抑制する酢酸を調査

酢豚や南蛮漬けなど料理にも多く用いられるお酢には、酢酸と言われる成分が含まれています。酢酸は、食後の血糖値上昇を抑制したり、代謝を高めることで内臓脂肪の減少を促したりと糖尿病の方や糖尿病予備軍の方にとって嬉しいパワーを秘めています。食用酢に含まれている酢酸は、糖尿病の方が特に気をつけたい血糖値の上昇を食後抑えてくれる作用がある成分です。他にも酢酸には糖尿病改善に嬉しい作用がいろいろ。その効果をリサーチ、解説します。

酢酸とは

そもそも酢酸とは、酢の酸味となる成分で食酢に数パーセントの割合で含まれています。高血圧気味の方に適した食品として許可されている特定保健用食品でも酢酸が関与成分とされています。[1]酢酸は熱を加えても分解されたりしない成分ですから、火を加えた料理にも使うことができます。

酢酸が糖尿病予防・改善に良い理由

それでは具体的に、酢酸の持つ糖尿病予防・改善作用を見ていきましょう。

食後の血糖値上昇を抑制

酢酸を含む食酢は、食後の血糖値上昇を抑えてくれる効果があります。女子大生13人を対象に行った、食酢の摂取と血糖値の変化に関する実験では、ご飯とジャガイモを食酢20mlと合わせて摂取したところ、食後の血糖値変化が食酢を摂取した方が血糖値の上昇が抑えられていました。

米飯についてもじゃがいもについても,単独で摂取するより食酢を組み合わせた方が食後血糖値の上昇は抑制された.その要因としては,食酢の主成分である酢酸によるものと考えられる.動物実験では酢酸を含むグルコース溶液と酢酸を含まない溶液をラットに投与したところ,酢酸を含む溶液の場合には胃内のグルコース残留量が多かったことが報告されている10).また,ヒトを対象とした実験においても酢酸により胃内滞留時間の延長が認められている..従って,食酢の食後血糖上昇抑制効果がみられたのは胃内滞留時間の延長による消化・吸収の遅延によるものではないかと考えられている

出典:『食後の血糖値上昇抑制効果』糖尿病54(3),2011

なぜ、食酢が血糖値の上昇を抑えてくれたのかと言うと、実はそのメカニズムはまだまだはっきりとわかっていません。しかしながら、今のところ酢酸が胃の中に食べ物がとどまる時間をゆっくりにし、消化の流れを緩やかにしてくれるためではないかと考えられています。

糖質の消化を遅らせる作用

酢が糖質の消化を遅らせる要因は2つ考えられています。「消化酵素の働きを弱める」「食べ物を小腸に送り出す時間を遅くする」という2つです。糖質の元となる食べ物を分解する消化酵素の動きがゆっくりに変われば、糖質も消化されにくくなりますね。また、糖は小腸から吸収されるので、食べ物を小腸に送り出す時間が遅くなれば、糖質の吸収も遅く緩やかになるのです。 2つの要因は、残念ながらまだ確証といえる検証結果は出ていません。しかし、これまで行われた実験結果やデータから、この2つの要因が関係している可能性が高いと言えます。

消化酵素の働きを弱める

酢酸はだ液に含まれている消化酵素「アミラーゼ」の働きを弱める効果を持っています。アミラーゼとは食べ物の消化を助ける働きを持つ酵素で、酵素として働くのにはph7~7.5の中性に保たれた口内環境が必要です。酢はph2.5~3.5の酸性。なので、酢を摂取すると口内環境が中性から酸性に傾き、アミラーゼが働きやすい環境が崩れて弱くなるのです。 このように酢酸がアミラーゼの動きを緩やかにすることで食べ物を消化する時間が長くなり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。 ちなみに、酢を飲むとだ液が分泌されるのは、酸っぱい味を毒と勘違いして、だ液で洗い流そうとするためだそうです。消化酵素との深い関係はあきらかになっていないため、気にする必要はありません。

食べ物を小腸に送り出す時間を遅くする

酢酸は、摂取した食べ物を小腸へ送り出す流れを緩やかにする働きを持っています。日本GI研究会の実験によると、カップラーメンに酢を入れたものと酢を入れてないものに分けて血糖値の上昇を見たところ、酢を入れたほうの血糖値は明らかに緩やかな上昇でした。

レモンでも同じ効果がある

東京慈恵会医科大学葛飾医療センターに勤めている林進医師によると、レモンのすっぱさも血糖値を抑える働きを持っているようです。酢のすっぱさもレモンのすっぱさも同じ働きがあるのであれば、食べるメニューによってレモンと酢を使い分けられるので嬉しいですね。
1回の食事で大さじ1杯程度の酢を取れば、血糖値の上昇を抑えられます。レモンを焼き魚や焼き鳥、から揚げなど、あらゆる場面で使ってみるとよいでしょう。 他にもライムやユズといったかんきつ類は同じような効果が期待できるため、レモン以外のものを試してみるのもアリ。食卓に酢かレモンの小瓶が一つ必ず用意されていると、いつでもいろんな食べものにかけて摂取できるので、血糖値が気になる人は是非試してみてください。

内臓脂肪を減少させる

もう一つ、糖尿病の方に嬉しい酢酸の作用として挙げられるのが、内臓脂肪を減らしやすくする作用です。継続的に食酢などから酢酸を摂取すると、肝臓で酢酸を代謝する際に肝臓が脂肪酸を作る酵素の発現を抑制。さらにAMPK酵素という脂質の燃焼を促進してくれる酵素を代謝の過程で活性化してくれます。その結果身体を、脂肪を作りにくく、燃焼しやすい状態に導いてくれるのです。

5週齢PLETFラットを,水を投与する群及び酢酸を投与する群の2群に分けて,毎日一定時刻(暗期から明期に入る時間帯)に蒸留水または1vol%酢酸溶液をそれぞれ5mL/kg BW/day,ゾンデを用いて胃腔内に投与した。その結果,酢酸を継続的に経口投与した酢酸群においては,対照群に比較して体重増加の有意な抑制が見られ,その程度は肥満しないLETOラットと同程度であった。摂取量は水群OLETFラットが高い傾向であったが,摂取量あたりの体重増加量として算出した摂食効率を比較すると, 水群OLETFラットとLETOラットとの間には有意差はないのに対し,酢酸群水群OLETFラットは水群より有意に低かった。酢酸群では腹腔内脂肪蓄積量も有意に低下していた。その他血糖値,中性脂肪および血中コレステロール値の低下,ならびにこうインスリン血漿の改善が見られた。

出典:『酢酸の生理作用』日本栄養・食糧学会誌,67(4),2014

また、腸内細菌に酢酸が及ぼす機能を調べた実験では、酢酸を肥満女性に注入したところ、インスリンの分泌を促すホルモンの一つGLP-1と食欲を抑えるホルモンPYY(ペプチドYY)の分泌が促進されていたことが報告されています。このことから、酢酸はインスリン機能を最適化し、食欲を抑えることで肥満を予防してくれる成分とも言えるでしょう。

インスリン抵抗性を有する肥満女性に酢酸(SCFAの一つ)を注入したところGLP-1、PYYの血中濃度が上昇すると報告された。これらの腸管内分泌ホルモンは摂食中枢に作用することで食欲を抑制している。さらにSCFAが脂肪細胞に直接作用していることも明らかになった。

出典:『糖尿病と腸内細菌』モダンメディア,62(5),2016

糖尿病対策で酢酸を取り入れるなら

調味料としても欠かせないお酢に含まれる酢酸。糖尿病対策で取り入れるなら食事療法の一環として積極的に酢を使った料理を食べるように心がけるといいでしょう。お酢は、塩味を強く感じさせる作用があり、減塩食を実践するのにも有効です。[2]糖尿病の方に多い高血圧を予防するためにも食酢を活用して食事から摂る塩の量を調節するのもいいのではないでしょうか?

糖尿病の食事療法に食酢を取り入れるなら、1日あたりの摂取量目安は10〜20ml。10ml摂取した時よりも20ml摂取した時の方が食後の血糖値上昇抑制効果は大きいことも報告されています。

糖尿病の食事療法において食後の血糖値上昇を抑制することは重要であり,その方法の 1 つとして,食酢を食事と一緒に,できれば 10ml より 20ml の方が効果的であろう.我々は,食酢 20ml が使用可能な量であるか否かを,実際に 23 種類の食酢を使用した献立を作成し,調理・試食・評価を行ない,調理の工夫をすれば美味しく十分摂取できることを確認している.

出典:『食後の血糖値上昇抑制効果』糖尿病54(3),2011

こうした研究報告からも、1日当たりのお酢の摂取量は大さじ1杯〜1、5杯程度が目安と言えそうです。大さじ1杯のお酢なら、気軽に生活に取り入れられるのではないでしょうか?お酢を使った料理を美味しく食べて、糖尿病改善を目指しましょう!

酢について

「血糖値の上昇を抑える」「内臓脂肪を減少させてくれる」と、多くの健康効果が期待されているお酢ですが、実力はこれだけにとどまりません。まだまだ知られていない健康への作用がたくさんあります。 酢は最古の発酵調味料ともいわれており、文献では紀元前5000年ころから作られていました。歴史的にも長く日本ではお寿司を中心に愛されてきた酢。ここではお酢が持つ健康への働き・美容に関する働きについて簡単にまとめています。

血圧を正常にする

平均51歳の高血圧と診断された男女33人が10週間続けて酢を大さじ1杯飲んだところ、6週間後には血圧が正常値にまで下がったという結果が出ました。この結果から、酢酸が体の中で消費される時、血管を拡張させるAMPが作られると考えられています。血管が拡がることで血流の流れが緩やかに変わり、血圧が下がるようになるのです。

また最近では、酢酸が血管の細胞に一酸化窒素を作り出す酵素「eNOS」の働きを促進する可能性があると言われています。一酸化窒素は、血液の細胞から分泌される酵素で、血管を拡張したり、血液をサラサラにしたりする作用があると注目を集めている成分です。血管が詰まると、詰まった先の血管には血液が流れにくくなるので、血管の先端部分だけが収縮してしまいます。その危険を防いでくれるのが一酸化窒素です。血液が流れやすくなると、血管が詰まる可能性が下がり、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気を予防できます。大さじ1杯の酢だけでここまで変わるのは嬉しい発見ですね。

血糖値の上昇を緩やかにする

酢には血糖値を下げる効果があると言われています。どのようなメカニズムで血糖値を下げているのかはまだ明確な発表は出ていませんが、さまざまな実験や検証結果から、酢を摂取した後に血糖値が下がることは明らかです。白ご飯にきゅうりの酢の物がついたセットと白ご飯だけの検証。酢を入れたラーメンと入れていないラーメンとの検証。どれも酢と一緒に食事を摂ったほうが血糖値の上昇は緩やかになるという結果が出ました。食べ物が変わっても結果は変わらないため、酢を上手に使うと血糖値の改善につながると考えられます。

黒酢にはアミノ酸が豊富

酢にはアミノ酸が多く含まれています。 アミノ酸は、糖や脂肪を細胞のエネルギーに変える働きを持つ栄養素です。体を作るたんぱく質に変わったり、血流を良くしたりといった働きがありますが、中でも脂肪の吸収を抑える作用は注目。なぜなら、脂肪を吸収しにくくすれば、肥満解消にもつながるからです。肥満になると糖尿病にかかるリスクが通常の人の5倍になると言われています。糖尿病になるリスクを減らすためにも、脂肪の吸収を抑えてくれるアミノ酸は体に取り入れたい要素の1つです。

アミノ酸を摂取するなら普通の酢でも良いですが、より多く摂取するなら黒酢が適しています。黒酢には普通の穀物酢の10倍ものアミノ酸が含まれているともいわれており、肥満を気にしている人に親しまれているためです。 黒酢とは玄米を原料として作られた酢のこと。通常の穀物酢は米や麦を元にして作られており、黄色がかった透明色をしていますが、玄米を使ってつくる黒酢は名前の通り黒っぽい色合いをしています。じっくりと玄米を発酵させることで、体を作る豊富なアミノ酸が生まれるのです。

黒酢を取り入れるタイミングは食後がおすすめ。食後の脂質を抑える働きをしてくれます。空腹時は胃へ負担をかけるので、取り入れる際は何か胃に入れた後にしましょう。ヨーグルトに入れたり、お酒に混ぜたりする方法も人気です。

更年期女性の代謝を活性化する

酢酸は更年期に入った女性の代謝を上げる働きがあると言われています。 女性は卵巣から分泌される女性ホルモンの1つ、エストロゲンによって脂質の代謝を活発にしています。そのため、閉経すると代謝が下がり、コレステロール値が高い状態に。閉経前の40代は男性のほうがコレステロール値は異常値に達していますが、閉経後は女性のほうが高くなるのです。 更年期をモデルにしたマウスの検証によると、アルコールを摂取させると代謝が下がらないことが証明されました。アルコールは分解されると酢酸に変わるので、酢でも同じように代謝が改善される可能性があると考えられます。閉経後のコレステロール値が気になる人は、酢による改善を試みても良さそうです。

カルシウムを効率よくとれる

酢はカルシウムの吸収を促す効果を持っています。カルシウムは胃液によって溶けて吸収しやすい状態に変化。酢は胃酸の分泌を促してくれるため、カルシウムをより吸収しやすい形に変えてくれるのです。 また、骨つき肉を酢で煮込むと、骨からカルシウムが溶けだして多くのカルシウムを摂取できます。肉を柔らかくする働きもあるため、肉料理の時は酢を使って調理してみてください。カルシウムの吸収に効果的に働いていると考えられます。

減塩できる

酢酸には血圧を上昇させるホルモンの働きを緩やかする作用があります。 高血圧の人たちを2つのグループに分けて、毎日大さじ1杯の酢を摂取するグループと大さじ2杯の酢を摂取するグループに分けて、血圧がどう変化するのかという検証が行われました。すると、毎日2杯の酢を摂取していたグループは数日で血圧が下がり始めました。遅れて1杯だけのグループも血圧が下がったようです。 この検証結果から、血圧の高い人は酢を摂取することによって血圧を正常値に近づけることができると言えます。

心配なのは、血圧が正常な人は逆に酢を摂取しすぎると、低血圧になってしまうのか?という点ですが、酢の飲み過ぎで低血圧になることはないようなので心配しなくても大丈夫です。 ただし、注意しておきたいのは、酢の血圧を下げる効果は飲み続けないと得られないというところ。上記で紹介した検証でも、8週目に酢の摂取をストップすると、徐々に血圧が上昇していきました。摂取前よりも悪化するようなことはありませんでしたが、高血圧を改善するには、酢を摂取し続ける必要がありそうです。一日の流れとして習慣化させるのが一番かもしれません。

酢酸以外に糖尿病に効果のある成分とは?

酢酸は、上記で説明した通り、食後の血糖値上昇を抑えてくれるだけではなく、 内臓脂肪を減らしやすくしてくれます。そのため、ぜひ日々の食事に取り入れていきたいものです。

しかし、糖尿病に効果があるのは、酢酸のみではありません。当サイトでは、「酵素」や「カテキン」といった 糖尿病改善の為に研究されている成分を紹介しています。酢酸だけではなく、酵素といった様々な成分を活用してみてはいかがでしょうか?

糖尿病改善のために研究されている成分を詳しく知る

[1]参考:国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報『酢酸・酢』(2018年2月6日確認)

[2]参考:『料理における食酢の減塩効果の検討』日本調理科学学会誌,42(4),2009

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