糖尿病対策に、DHA・EPAの血糖値改善効果

糖尿病対策にDHA・EPAの血糖値を改善する効果とは

血糖値下降効果のあるDHA・EPAを調査

青魚に多く含まれることで知られる、DHA・EPA。このDHA・EPAには、糖尿病の大敵である血糖値を下げる効果があると言われています。実際にDHA・EPAは糖尿病改善に効果があるのか、その効果を調べました。

血液をサラサラにして血糖値を改善!

DHA・EPAは、イワシ・サンマなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種。血液環境を改善する効果があるとされ、注目されている健康成分です。糖尿病は、血糖値が上がることで血液がドロドロになり、血液の環境が悪くなる病気。放置がもっとも危険であり、初期症状の段階から継続的に血糖値をコントロールすることで、少しずつ予防や改善効果が現れます。

糖尿病を予防・改善するためには、日常的に摂取する食品についても良質な栄養素を含んだものを中心にすえるのが理想的です。

DHA

体の中を流れる血液環境を整えてくれるものが、青魚に多く含まれるDHA・EPAです。

DHAは授乳中のお母さんの母乳にも含まれている成分で、成長期の赤ちゃんや乳児にとって、なくてはならない栄養素。また、DHAは人間の体に必須の脂肪酸であり、心臓や脳、目の網膜などさまざまな部位に含まれています。いわゆる食品用の油ではなく、本来の意味で人体にとって必要な脂質であることから、定期的に摂取することが推奨されています。

DHAには、中性脂肪を上げる悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにする働きがあります。実際に高脂血症のラットを用いた実験では、DHAを添加した餌を食べさせたところ、高脂血症への強い予防効果が認められました。 [1]

たくさん摂取しても急激に体内で増えることはなく、血液中ではほぼ一定量に保たれる栄養素ですが、脳の中に豊富に含まれる成分で、脳の構成成分の一つとなっているため、あらゆる体内の制御に関わっている脳機能の維持にも役立ちます。

EPA

DHAと同じく青魚に含まれるEPAには、血液を固まりにくくして、血流をスムーズにする働きがあります。こちらもDHAと同様に、糖尿病の初期症状の改善や予防に効果を示します。

日本人はもともと、インスリン分泌の能力が少ない民族。そのため、少しでも高脂肪の食事が続くと、インスリンの生産が追いつかなくなり、糖尿病になりやすいとされています。 [2] これらの病気のリスクを減らすためには、回遊魚や青魚など、EPAを豊富に含む魚を食べるのが良いとされているのです。

EPAは食事による影響を受けやすい栄養素であるため、摂取すると体内で不飽和肪酸を増やし、血液を固まりにくくしてくれます。グリーンランドに暮らす先住民族イヌイットを対象に行われた疫学調査では、EPAやDHAを豊富に含むイヌイットたちは、脳出血や脳梗塞の発症率が低いことが報告されています。 [3]

EPAの持つ健康効果は、他にも色々。例えば、EPAには、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させ、血圧を下げる効果が認められています。DHAと同じような働きを持つEPAの力は、DHAよりも早くに注目されました。イワシの魚油を高純度なEPAに精製した薬「エパデール」は実際、医療の現場でも高脂血症の治療薬として使われています。

EPAはリン脂質として、体の細胞膜に取り込まれます。EPAは多く摂取すれば同じように細胞膜に取り込まれるアラキドン酸に置換され、細胞膜の性質を変えてくれます。アラキドン酸は、炎症などを悪化させる成分のため、細胞膜にとっては、アラキドン酸よりもEPAが細胞膜に多く含まれている方が良い状態と言えるのです。 [4]

また、糖尿病の関連病としては腫瘍も挙げられますが、DHA・EPAを含む魚油には、それらの発生を防ぐ効果があることもわかってきました。

DHAとEPAを両方摂るメリット

日本食は伝統的に魚介類を豊富に使う健康長寿食として知られています。EPAやDHAを豊富に含む魚油が生物の寿命に与える影響を調べた研究では、魚油とサフラワー油をそれぞれ与えられたラットのうち、魚油を摂取したマウスの方が、腫瘍の発生率が大きく減少していました。

寿命を迎えたサフラワー油摂取マウスはほぼ全てに腫瘍が認められたが、魚油を摂取したマウスでは腫瘍の発生は大きく減少した。また、魚油は肝臓への脂肪蓄積を抑制していた。
出典:『III-4. 魚油摂取と寿命—日本型食生活の考察—』日本水産学会誌,77(2),2011

魚油を摂取したラット群は、肝臓への脂肪蓄積も少なかったそう。糖尿病予防だけでなく、DHAやEPAが健康に良いことは、このような研究からもわかるのではないでしょうか。

DHAとEPAは一見似たような働きをするものの、片方の成分のみで代用することはできません。DHAの働きをEPAが代わることはできず、その逆も同じであるため、両方をまんべんなく摂取することが健康にとっては良いことになりますね。

血液がサラサラであるかどうかをチェックするには赤血球の柔らかさが重要であるとされていますが、実際に行われた試験では、EPAを摂取したヒトはEPAが赤血球の膜に取り込まれるため、赤血球が柔らかくなりました。[5] それに対し、DHAを摂取した時にはEPAよりも膜に取り込まれにくかったため、赤血球の柔らかさに改善がみられなかったほか、血液の粘度にも改善が認められなかったということでした。このような研究結果からも、血液をサラサラにするためにはいくつかの条件が重要ということがわかります。

DHAとEPAは両方摂取するのがベストであり、DHAで悪玉コレステロールを減らしながら、EPAで血流をスムーズにしていくのが血糖コントロールにとっても良い影響を与えます。

糖尿病対策でDHA・EPAを取り入れるなら

では、DHA・EPAは具体的にどのような食品に含まれているのでしょうか?

EPAについては、青魚に非常に多く含まれています。可食部100gあたりのEPAの含有量は、クロマグロの脂身(生)で1,400mg。ブリの刺身では940mg、サンマの刺身には850mgも含まれています。このほかにもマイワシや、マサバ、ハマチ、鮎などもEPAを豊富に含む魚です。 [6]

また、DHAが多く含まれる魚は、EPAと同様に青魚です。例えば、ブリの焼き魚であれば100gあたりのDHA含有量は1,900mg。うなぎの蒲焼なら1,200mg、焼きサンマなら1,200mg、戻りガツオの刺身であれば970mg含まれています。 [6]

厚労省が発表している、EPAやDHAを含むn-3系多価不飽和脂肪酸の食事摂取量の目安は、成人男性で1日あたり2,000〜2,400mg。成人女性で1,600〜2,000mgとされています。

EPAやDHAを含むn-3系脂肪酸を食事から摂取するには、やはり魚類が効率的です。とはいえ、外食や肉食、お弁当食が続けば、どうしてもEPAやDHAが不足しがちになります。洋食は特に不足しやすいといえるでしょう。食事の中でEPAやDHAを摂取したい時は、毎日の食事は和食を基本とするといいでしょう。

美味しく、楽しく食べるためには、四季によって変わる旬の魚を食べるように意識してみてください。例えば、カツオであれば、秋に食べられる脂ののったおいしい「戻りガツオ」の方が、春に食べられる初鰹よりもn-3系脂肪酸の含有量が10倍近く多くなります。季節ごとに一番おいしい魚を食べることが、DHAやEPAをたくさん摂取できますし、健康的な食生活を実践する最適な方法になるかもしれません。

また、食事で足りない栄養成分については、サプリメントを活用し補給してあげるのも有効。油に溶けやすい脂溶性サプリメントに分類されるDHAやEPAのサプリメントは、空腹時よりも食後や食事中に飲む方が吸収率を高められます。脂分が多い食べ物を食べるタイミングに合わせるといいでしょう。

より効果的な食べ合わせ

DHAとEPAはお互いを補完するというよりも、両方をバランス良く摂るのが理想的。青魚を毎日調理できない日には、サバなどの缶詰を使う、魚肉ソーセージをメニューに加えるなどの方法がおすすめです。

魚そのものが苦手で摂取できないという方は「アマニ油」で代用するか、DHA・EPAを含むサプリメントを摂取する、あるいは魚を使ったメニューにサプリメントを組み合わせて、不足する栄養素を補うと良いですね。

酸化を防ぐ摂取方法

魚の風味の劣化にはさまざまな研究がされていますが、EPAやDHAが酸化すると低分子のアルデヒドやケトンなどが発生します。これが食品を劣化させる原因とされています。酸化を防止する方法にもいくつかの検討がされていますが、従来のように香料を使ってにおいを消すような方法では、根本的な解決にはなりません。

食品からDHAやEPAを摂る際にはできるだけ新鮮なうちに口にするのがベストですが、難しい場合はサプリメントを摂取すると良いでしょう。

サプリメントを選ぶためには、個包装やビタミンの添加、アルミパックの使用など、酸化防止対策がきちんとされていることを確認してください。魚の油は体内で酸化するという特徴もあるため、体内における酸化防止としてビタミンEを含む食品(かぼちゃ、ブロッコリー、ナッツ類など)を一緒に摂ると効果的ですよ。

DHA・EPA以外に糖尿病に効果のある成分とは?

DHA・EPAは、血液をサラサラするといった、血糖値改善の効果が見込める成分ですが、 それ以外にも、糖尿病改善のために研究されている成分は多くあります。当サイトでは、「酵素」や「サポニン」といった糖尿病を改善する成分を多数紹介していますので、ぜひ治療の参考にしてみてください。

糖尿病改善のために研究されている成分を詳しく知る

参考文献

[1]『ドコサヘキサエン酸を富化したクロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris) CK22株の投与による高コレステロール摂餌ラット血清脂質上昇抑制作用』小西ら,日本栄養・食料学会誌,55(4),2002[pdf]

[2]『特集 生活習慣病としての糖尿病 食事との関連性』糖尿病,41(11),1998[pdf]

[3]『血管壁と血液凝固系』桜川,新潟医学会雑誌,101(1),1987[pdf]

[4]持田製薬株式会社「エパデール EPAのあゆみ/脂肪酸とは?」(2018年1月16日確認)

[5]『七訂 日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編(2015年版)』文部科学省[pdf]

[6]生物学的モニタリングのための血漿および赤血球膜リン脂質中長鎖多価不飽和脂肪酸の比較

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