糖尿病と血圧の関係、高血圧でおこる危険性について

【医師監修】高血圧も低血圧も要注意!血圧異常が糖尿病におよぼす影響

Method血圧

監修医師

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上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野 尚彦先生

血圧とは、血管を流れる血液が血管に与える圧力です。一見、糖尿病とは何の関係もないように思えますが、実はこの2つには意外な関係性があるのです。血圧のコントロールは、糖尿病の合併症を左右する重要な要素となっています。

糖尿病における血圧の重要性

血圧は低くても高くても問題ですが、糖尿病の直接の原因となるものではありません。

しかし、糖尿病患者は平均して高血圧であるケースが多め(一般の人に比べて約2倍)。糖尿病と高血圧を同時に発症すると、血管へのダメージは多大なものとなり、動脈硬化・心筋梗塞・脳血管障害(脳出血・脳梗塞など)のリスクが高まることが分かっています。

つまり、糖尿病患者にとって、血圧の数値は命にかかわる重要なものと言えるのです。

糖尿病がある場合の血圧の基準値

  • 収縮期(最高血圧)が130未満…正常
  • 拡張期(最低血圧)が80未満…正常

これより数値が高いと、高血圧となります。

糖尿病になると、インスリン抵抗性のためナトリウム貯留によって量が増加。血液自体も粘性を増し、ドロドロ状態となります。これを心臓から送り出すとなると、当然ながら血管の負担はアップ。必然的に高血圧となります。

また、糖尿病患者は肥満であるケースが多いですが、肥満だと常に交感神経が緊張し・ホルモンを多く分泌してしまうことで、血圧が上がる傾向にあります。

そのほか、インスリンが十分に働かないインスリン抵抗性の場合でも、交感神経を刺激して血圧が上がることがあります。また、糖尿病がさらに進むと、糖尿病性腎症という合併症を引き起こすことがあります。この腎症になると、腎臓から血圧を上げるホルモンが分泌されることにより、高血圧になることがあります。

糖尿病患者の場合、血圧コントロールの目安は最高血圧130mmHg・最低血圧80mmHg。これは、血圧以外の危険因子を持たない人に比べると、非常に厳しい値となっています。つまり、それほどまでに糖尿病と高血圧の併発は、高いリスクをはらんでいるということです。

高血圧が引き起こす糖尿病関連病

糖尿病患者で高血圧が続くと、どのようなリスクが高まるのでしょうか。主な症状は以下の通りです。

  • 動脈硬化
    糖尿病と高血圧を併発していると、動脈硬化の進行速度がアップ。動脈硬化が原因となっている心筋梗塞・脳梗塞などを発症するリスクが、健常者の6~7倍も高まります。
  • 糖尿病性腎症の発症・重症化
    高血圧になると腎臓にも負担がかかり、さらに血圧が上昇。糖尿病の合併症である腎症を発症しやすくなるだけでなく、症状の重症化が懸念されます。

また、糖尿病の場合、血圧が基準値よりも低くなることもあります(低血圧)。

糖尿病の症状に立ちくらみがありますが、立ちくらみの正式名称は起立性低血圧。自律神経がうまく働かないことにより、急に立ち上がったときにふらついたり、目の前が真っ暗になったりします。高血糖状態が続くと、血液が自律神経まで栄養を運べなくなり、起立性低血圧になることがあるのです。

血糖値と血圧をコントロールする方法とは?

糖尿病と高血圧を改善するには、食事療法と運動療法が基本。とくに食事は、高血圧の食事療法を取り入れる必要があります。

まず、1日の塩分摂取量は6g未満に抑えること。減塩は血圧のコントロールに非常に効果があるため、薄味に慣れるようにしましょう。また、ドロドロ血液の原因となる糖・脂質の摂りすぎにも注意が必要です。

糖尿病の場合、さらにカロリー摂取量を守る必要が出てくるため、食生活はかなり窮屈なものになるかもしれません。しかし、食事療法は長く続けることが何よりも大事。

ここで参考にしたいのが栄養学です。カロリーではなく栄養素をメインに考えることで、食事療法のストレスを軽減できることがあるため、ぜひ参考にしてみてください。

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上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野尚彦先生

血圧コントロールをするための食事療法

1日の摂取カロリー

糖尿病の食事療法では、1日のエネルギー摂取量を標準体重と1日の活動量から計算します。以下の計算式を使って、まずはどのくらいのエネルギー摂取が適正なのかをチェックしてみましょう。

【標準体重】=[身長(m)] × [身長(m)] ×22
【エネルギー摂取量】=[標準体重] ×[身体活動量]

体重1kgあたりの身体活動量は、デスクワークの多い方などの軽労作の場合は25〜30kcal、立ち仕事の多い職業など普通の労作なら30〜35kcal、力仕事の多い職業など重い労作なら35kcal〜が目安です。

例えば、身長170cm・体重80kgの方で、デスクワークの仕事をしている方の場合。標準体重は1.7×1.7×22=約63.5kg。エネルギー摂取量は、63.5kg×25kcalで、1587kcal程度が目安となります。[1]

バランスの良い栄養素を心がけて

食事制限と言われると、どうしても摂取カロリーに目が向きがちですが、同時に栄養バランスの良い食生活を実践することが大切です。食品の種類は多く摂るよう心がけましょう。

また、高血圧の原因となる食塩の摂取量を減らすことは、高血圧の糖尿病の方にとって特に大切です。1日の食塩の摂取量の理想は約6gです。塩分控えめな味付けを心がけ、外食をする際には和食を中心に選び、丼ものよりも品数が多い定食などを選ぶようにしましょう。

規則正しい食事のリズムを

食事を摂る時間は、できる限り規則正しくすることがお勧めです。朝昼晩と1日3回きちんととり、膵臓への負担を減らしましょう。また、満腹感を感じられるように、一口一口よく噛んで、腹八分目を心がけるといいでしょう。

食べる順序は野菜から

また、食べる順序を変えることで、食後の血糖値の上昇を抑制することができます。食事摂取の順序と血糖値への影響を調べた研究では、白米とサラダ、主菜の中では白米を最初に食べた時が最も血糖値の上昇が高い値を示していたそうです。また、サラダや主菜を最初に食べた場合には、血糖の上昇が抑えられ、血糖値も安定した数値を示す傾向にありました。

これは、先にサラダを食べて食物繊維を摂ることで、小腸内で食べ物が消化・吸収されるスピードが緩やかになり、結果的に血糖値の上昇が抑えられるため。[2]ぜひ、食事をする際には野菜など食物繊維が豊富なものから食べるようにしてみましょう。

降圧剤とは?

糖尿病に合併して高血圧症がある場合には、血圧コントロールのために降圧剤と呼ばれる薬を処方されることがあります。 降圧剤は糖尿病腎症の方にとっても、腎機能の低下を抑制するなどの作用が期待されます。

高血圧の治療に用いられる降圧剤には、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)があります。また、これらの薬で血圧低下が不十分な場合には、薬の増量もしくは持続型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬もしくはサイアザイド系利尿薬などが用いられます。

ACE阻害薬やARBには臓器を守り、インスリン抵抗性を改善する働きも期待できるため、第一の選択肢として検討されます。[3]

血圧をコントロールして糖尿病を予防・改善するには?

食塩摂取量を可能な限り少なくする

食塩の摂取は、高血圧になる元。厚生労働省は、12歳以上の1日の摂取目標量を男性9.0g未満、女性7.5g未満と規定しています。一方で、糖尿病の専門医の多くは6g以下にすべきという声も上がっております。濃い味付けに慣れた高齢者には食塩量を減らすのは手厳しいかもしれません。だしのうまみ、酢や果汁といった酸味、香辛料を用いて薄味の食事に慣れるように努めましょう。

加工食品の食塩に注意する

加工食品には、しょっぱいと感じなくても食塩が入っている場合がほとんどです。パッケージに食塩含有量が記載されているので、購入するときはよく確認してから買うようにしましょう。

麺類の汁は残すようにする

うどんやそば、ラーメンといった麺類には、汁がつきもの。汁には5g前後の食塩が含まれており、飲んでしまうと大量の塩分摂取になってしまいます。ラーメンスープからラーメンライスにしたり、 鍋うどんの汁から雑炊にしたり、美味しくアレンジはできますがグッと我慢をして汁を口にしないようにしあmしょう。

さまざまなミネラルをきちんと摂取する

ミネラルは血圧を下げてくれる作用があります。野菜や果物、階層にはカリウムが、乳製品や小魚、大豆製品にはカルシウムが、ごまやアーモンド、大豆製品にはマグネシウムが含まれております。積極的に、これらの食品を摂取することで血圧が高くなるのを予防していきましょう。

タウリンを含む魚介類を食べる

魚の油には、動脈硬化を予防する脂肪酸が多く含まれています。アミノ酸の1つであるタウリンは血圧を下げてくれる作用があるので、上で紹介した食品のほかに魚介類も積極的に摂るように努めましょう。

糖尿病に加えて、高血圧を併発していると、合併症などのリスクがついてきます。それらを防ぐためにも、普段から血圧を意識して、食事や運動をするように心がけましょう。 最近では、糖尿病の症状改善に効果があるのではと研究されている成分もあります。普段の食事をバランスよくとりつつ、改善効果のある成分を取り入れてみてはいかがでしょうか?

糖尿病の症状改善に研究されている成分とは?

糖尿病は、血液中のヘモグロビンA1c と血糖値が継続して高くなる病気。つまり、糖尿病の治療は、この2 つの数値をいかに下げるかにポイント。

現在、ヘモグロビンA1c と血糖値を下げる効果があるとされる成分や糖尿病の症状改善に研究されている成分があります。糖尿病の改善に有効とされる成分を栄養バランスに加えて、取り入れることをオススメします。

糖尿病改善のために研究されている成分を詳しく知る

[1]参考:『糖尿病治療のエッセンス』日本糖尿病対策推進会議,平成28年

[2]参考:『食事の摂取順序による血糖値の影響』長崎女子短期大学紀要,40(3),2016

[3]参考:『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013』

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