食事療法・運動療法自体がストレスにならないよう注意
詳細は後述しますが、ストレスは血糖値を上げる主要な要因の一つとなります。糖尿病を患っている方、また高血糖を指摘された方は、ストレスを溜めないような日常生活を意識しなければなりません。
しかしながら、糖尿病を改善させる生活習慣自体が、ストレスの要因となることもあります。
食事療法によるストレス
糖尿病患者は、糖質コントロールなどの様々な食事制限を実行していかなければなりません。
同僚が美味しそうなラーメンや定食を食べている横で、パンチの足りない野菜中心の食事を摂らなければならないこともあるでしょう。忘年会にも関わらず、一人だけ、アルコールやおつまみを控えなければならないかも知れません。
糖尿病患者にとって、これら食事制限自体がストレスの種となることもあるようです。
運動療法によるストレス
食事制限を行なう一方で、糖尿病患者は、運動療法も並行しなければなりません。
運動が好きな方には、むしろストレス解消になるかも知れませんが、運動に興味のない方にとってはストレスとなる可能性があります。忙しい仕事の中で運動の時間を作らたなければならないこと自体に、ストレスを感じる人もいるでしょう。
食事・運動療法は続けることが大事
食事・運動療法に過度なストレスを感じた場合、その習慣を続けることが困難になる恐れがあります。結果、療法を諦めて、反動で暴飲暴食をしてしまうという患者もいるようです。
食事療法や運動療法は、続けることが大事です。続けることができないほど極端に生活習慣を変えることは、むしろ良くありません。医師に相談の上、継続可能な生活習慣を送るようにしてください。
長期的なストレスが糖尿病の発症リスクを高める
過剰なストレスを長期間にわたって受け続けると、血糖値が上昇して糖尿病を発症するリスクが高まることが、複数の研究機関から報告されています。
ドイツ・ミュンヘン ヘルムホルツ センターからの報告
ドイツ在住の5,337名の労働者を被験者とし、平均13年にわたってストレスと糖尿病との関係を調査したデータがあります。
このデータによると、調査を開始した時に糖尿病を発症している人は、1人もいません。のち13年の間に、約300人が糖尿病を発症しました。
データを詳しく分析すると、職場で強いプレッシャーを受けている人は、そうでない人に比べて、糖尿病発症率が約45%上昇したと報告されています。
カナダ・労働・医療研究所からの報告
糖尿病を発症していない7443名の女性を被験者に、平均9年にわたる調査が行われました。分析調査によると、仕事のストレスが多い女性は、そうではない女性に比べて、糖尿病発症率が約2倍になることが分かりました。
ストレスが糖尿病の発症率を高める理由
ストレスと糖尿病発症との因果関係はまだ研究途上ですが、現段階では、血糖値を上昇させる各種のホルモンの働きが明らかになっています。
ストレスが加わると、人の体内では各種のホルモンが分泌されます。それらホルモンの中には、アドレナリンや甲状腺ホルモン、グルカゴン、コルチゾールなど、血糖値を上昇させることで知られるホルモンが多く存在しています。これらホルモンの長期的な分泌が続くことが、糖尿病発症リスクを高める要因の一つになっているのでは、と考えられています。
体に良いストレス解消法を実践しよう
糖尿病の要因にストレスが関係していることが明らかである以上、糖尿病患者は、日常的にストレスのコントロールを意識していく必要があります。
ストレス発散のために暴飲暴食に走る人もいるようですが、暴飲暴食は、糖尿病患者が最も行なってはいけないことの一つ。血糖値の急上昇により昏睡状態から死へ至る場合もあります。体に良いストレス解消法を実践するよう心掛けてください。
体に良いストレス解消法の例
環境を変える
人は、固定化された状況の中にストレスを感じることがあります。旅行や部屋の模様替えなど、自分を取り巻く環境を一時的に変えてみるだけでも、十分なストレス解消につながることがあります。
休む
何もせず、ただ休むだけでストレスが和らぐことがあります。週末だけではなく、可能であれば「休むためだけの有給」を取得してみてはいかがでしょうか?
体を動かす
運動療法にストレスを感じる人もいますが、その理由は、治療法の一環として強制されているからです。通常、人は体を動かすだけでストレスが軽くなると言われています。治療を目的として体を動かすのではなく、運動それ自体を目的として体を動かすよう意識してみてください。
医師に相談する
糖尿病患者の2~3割は、症状や治療によるストレスを原因とし、うつ症状を持っていると言われています。うつが進行した場合、糖尿病が悪化するリスクに加えて他の健康障害も併発する恐れがあります。ストレスに耐えられない場合、無理に自分で解消しようとせず、主治医に相談することも方法。心療内科など、適切な診療科を紹介してくれるでしょう。
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