透析療法期の食事療法

透析療法期の食事療法で気をつけたいポイント

透析療法期の食事療法

糖尿病による合併症のひとつに腎臓病があります。腎機能がどんどん低下していき、最後には腎不全となり透析治療に入ります。

こちらでは、糖尿病性腎症における「透析療法期」の食事で気を付けたいポイントやおすすめのレシピについて解説しています。

食事コントロールをする前に-透析療法期の状態とは-

5段階に分けられる糖尿病性腎症のうち、最後の病期にあたるのが「透析療法期」。糖尿病性腎症によって透析治療を受ける方は多く、透析をはじめた原因のおよそ40%が糖尿病性腎症です。

透析療法とは

透析療法とは、腎臓に代わって血液の老廃物を人工的に取り除き、血液をキレイにする方法です。

機械で血液を取り込んで浄化し、再び体内へ戻す「血液透析」と、お腹にある腹膜を利用して血液をきれいにする「腹膜透析」があります。

「血液透析」の場合は週に2~3回の通院が必要です。透析治療1回につき4~5時間ほどかかります。

「腹膜透析」では、お腹の中に透析液を入れ、腹膜を通して血液中の老廃物や余分な水分を透析液に移動させ、その透析液を外に出すことで血液浄化を行ないます。

透析液は1日4回ほど交換する必要がありますが、血液透析と違って自分で透析液を入れることができます。

透析療法は昭和42年に保険適用内の治療となり、5年後の昭和47年には自立支援医療(更生医療)が適応され、医療費は1割負担。所得によっては上限が定められており、患者さんの経済的負担が軽くなりました。

透析治療は世界的に均一化されている技術で、日本全国どこでもほぼ同じレベルの透析を受けられます。今でも透析治療の研究は続いていますが、特に日本は国際的に見てもトップレベルの技術を持ち、透析治療の発展を牽引しています。

透析療法期に優しい食事・食材

透析療法期は、第4期(顕性腎症期)と比べると食事の制限が少し緩和されます。リンや水分量の制限はありますが、高カリウム血症でなければカリウムの摂取基準は緩和され、たんぱく質の制限も緩くなるので、食事コントロールも比較的楽になるでしょう。

とはいえ、透析は腎臓の働きを完全にカバーできるわけではないので、治療の内容に応じた食事療法を続ける必要はありますが、透析治療を始めてからのほうが食事を楽しむ機会が増えるでしょう。

良質のたんぱく質を摂る

たんぱく質は、20種類のアミノ酸からつくられます。アミノ酸には必須アミノ酸と非必須アミノ酸がありますが、「必須アミノ酸」は体内で作ることができず、外から取り入れるしかありません。

中でも、必須アミノ酸の高い食材のことを「良質なたんぱく質」と呼びます。牛・豚・鳥の肉や魚などが良質なたんぱく質を持っています。乳製品でもたんぱく質を摂取できるのですが、リンが多いので摂りすぎるのは禁物です。

栄養バランスを意識した低たんぱく・減塩レシピ

  • ミートローフ

    ゆでたまごを牛ひき肉で包み込んで蒸しあげた、ボリュームたっぷりのミートローフ。ひき肉はエネルギーが多い一方で、たんぱく質・カリウム・リンの量が少ないのでおすすめです。

    <材料6人分>
    牛ひき肉…300g/ゆでたまご…3個/たまねぎ…100g/ニンジン…30g
    (A)卵(つなぎ用)/パン粉/牛乳…大さじ1/コショウ少々/ハチミツ/ナツメグパウダー
    (B)ケチャップ…大さじ2/中濃ソース…大さじ1/白ワイン…大さじ2/出た肉汁…10ml
    (添え野菜1人分)クレソン…10g/ベビーリーフ…20g/グリーンピース(缶詰)…20g/プチトマト…2個

    <作り方>
    1.かたくゆでた卵の殻をむき、縦に切って半分にします。
    2.タマネギ、ニンジンを細かくみじん切りにしてフライパンで炒め、しばらく置いて冷まします。
    3.ボウルに牛ひき肉と(2)で炒めた玉ねぎ・ニンジン、(A)の材料をすべて入れてよくこねます。
    4.アルミホイルに薄く油を塗り、(3)のタネを1/6取ります。アルミホイルの真ん中に(1)で作ったゆで卵半個をのせ、卵が隠れるように包みます。これをたまご3個分、合計6個作ります。
    5.熱したフライパンに、(4)を並べて置き、蓋をします。中火で転がしながら10~15 分ほど蒸しましょう。竹串で刺すと出てくる肉汁が透明になるのが目安です。
    6.ミートローフを取りだし、残った肉汁に(B)の材料をすべて混ぜ、ソースをつくります。
    7.ミートローフのアルミホイルをはがし、横半分に切って皿に盛り、クレソン、 ベビーリーフ、グリーンピース 、プチトマトを飾り、(6)で作ったソースを添えれば完成です。

    <栄養量>
    エネルギー:280kcal
    たんぱく質:15.8g
    食塩量:1.4g
    カリウム:491mg
    リン:169mg

気を付けるポイント

透析を始めると、制限が緩むので食事療法も楽になってきます。しかし、「透析をするから」と開き直って好きなだけ食べてしまうと、高血圧や高カリウム血症といった合併症を発症してしまいます。

快適な透析ライフのためにも炭水化物・脂質・たんぱく質をバランスよく取り、食事コントロールを続けましょう。

たんぱく質は多すぎず、少なすぎずをキープ

たんぱく質の摂取量は、上限が1.5倍ほど増え、下限も引き上げられます。つまり、一日に摂取するべきたんぱく質の量が増えるのです。

たんぱく質は体を維持する大切な栄養ですから、適正量をしっかりと摂取しましょう。

リンが多い食材・食品に注意

透析治療を始めると、新たにリンの制限が加わります。腎機能が低いと血液中のリンをうまく排出できないからです。

血中にリンが増えるとカルシウムの吸収を阻害してしまい、骨密度が低下しやすくなります。肝不全になった患者さんが骨折しやすいのはそのためです。

肉、魚、卵、乳製品など、たんぱく質の多い食材にはリンも多く含まれています。ベーコンやインスタントラーメンなどの加工食品にも入っています。

加工食品に含まれているリンは腸から吸収されやすいため、できるだけ加工食品を使わないようにするだけでも、リンの摂取量を抑えられるでしょう。また、リンは茹でこぼしたり水にさらしたりすることで、ある程度減らせます。

透析によってある程度リンを排出することもできますし、リンの吸収を抑える薬「ピートルチュアブル錠」もあります。食事療法に加えて、透析や薬の力も借りながらリンを制限しましょう。

まとめ

糖尿病腎症は、最終的には人工透析が必要です。顕性腎症期(第4期)よりは制限が緩和され、より食事を楽しめるようになります。

「透析を受けなければならない」と言われたら、強いショックを受ける方もいらっしゃるでしょう。透析治療を受け始めると、ほとんどの患者さんは体調が回復します。

日本で人工透析を受けている患者さんは30万人ほどで、うち6,000人は30年以上、透析を続けています。

透析の方法も選べるので、ライフスタイルに合わせて透析とうまく付き合っていきましょう。

食べ方だけではなく、栄養にも気を付けよう

透析治療を受けているからといって、好きなものを好きなだけ食べても大丈夫…というわけではありません。

透析だけでは腎臓の働きをすべてまかなうことはできないので、食事コントロールを続けることが大切です。

たんぱく質の下限が引き上げられるなど、摂取しなければならない栄養も増えます。食事やサプリメント、薬で血糖値と血圧を上手にコントロールしていきましょう。

参考:一般社団法人 日本腎臓学会:慢性腎臓病による食事療法基準2014年版[PDF]

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