腎不全期の食事療法

糖尿病性腎症の4期・腎不全期の食事で気を付けたいポイント

腎不全期の食事療法

糖尿病性腎症の第4期にあたる「腎不全期」の食事療法のポイントをまとめました。

静かに進行するといわれている糖尿病性腎症でも、第4期にはさまざまな自覚症状が現れます。人工透析をできるだけ遅らせるためにも、腎臓をいたわる食事を心がけることが大切。こちらでは、腎不全期の症状や気をつけたいポイント、栄養バランスを意識したレシピなどを紹介しています。

食事コントロールをする前に-腎不全期の状態とは-

糖尿病性腎症は5つの段階に分けられており、腎不全期は第4期に当たります。ほとんど自覚症状がない糖尿病性腎症ですが、この段階になると易疲労感(疲れやすい)、嘔吐、手のしびれや痛み、むくみ、腹痛といった自覚症状が現れ始めます。

腎不全期に突入した場合、腎臓の機能を回復させることは難しく、腎症の進行を遅らせるために食事療法を行います。 腎不全期の目安は以下の通りです。

尿タンパク値(g/gCr)あるいは
アルブミン値(mg/gCr)
問わない
腎機能・GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
30未満

引用:一般社団法人 全国腎臓病協議会

全身がむくみはじめ、低たんぱく血症や高血圧といった「ネフローゼ症候群」の症状が現れます。ネフローゼ症候群が進むと、肺や心臓などの器官にも水が溜まってしまい、血栓症や感染症といった合併症の危険性も。

食事療法では、たんぱく質の量は、体重1kgあたり0.6~0.7g未満に抑え、塩分は1日7g未満にします。

加えて、腎不全期には体内のカリウムやリンが増加するため、食事で摂取しやすいカリウムを制限することも。カリウムを制限する場合は、1日1,500mg以下に留めましょう。

むくみがひどい場合には、水分制限を行なうこともあります。

腎不全期に優しい食事・食材

腎機能が著しく低下すると、血中のカリウム量が過剰になってしまうため、カリウムを制限されるよう指示されることもあります。

カリウムはさまざまな食材に含まれており、たんぱく質を制限することでカリウムも同時に制限できます。 カリウムは水に溶けやすいので、野菜やイモ類は切ってからサッと茹でると◎。小さめに切る、茹でた後によく水気を切ると、よりカリウムを取り除くことができますよ。玉ねぎなどは水に晒すだけでもカリウムを落とすことができます。

生の果物にはカリウムが豊富に含まれています。量を減らすか果物の缶詰にするといいでしょう。缶詰はシロップの中にカリウムが溶けだしているので、シロップはもったいないですが飲まない方がよいでしょう。

海藻類にもカリウムは多く含まれているので、腎不全期に入ったら控えるようにしてくださいね。

栄養バランスを意識した低たんぱく・減塩レシピ

  • ゆでキャベツとかいわれ大根のサラダ

    茹でることでカリウムの摂取量を抑えつつ、かいわれ大根の辛みとお酢の酸味が塩分の物足りなさをカバーしてくれる一品です。

    <材料1人分>
    キャベツ…50g
    にんじん…15g
    かいわれ大根5g
    油…2g
    酢…5g
    塩…0.3g
    <作り方>
    1.キャベツはよく茹でた後に短冊状に切ります。にんじんは、短冊状に切ってから茹でましょう。
    2.かいわれ大根の根元を落として、半分に切ります。
    3.油・酢・塩を入れ、(1)のキャベツとにんじん、(2)のかいわれ大根と一緒にあえます。
    <栄養量>
    エネルギー:37kcal
    たんぱく質:0.7g
    食塩量:0.3g
    カリウム:87mg
    リン:17g
  • サクラエビのかき揚げ

    サクラエビをメインに、玉ねぎとミックスベジタブルを使った2種類のかき揚げです。

    <材料1人分>
    サクラエビ…6g
    たまねぎ…30g
    青ねぎ…2g
    ミックスベジタブル30ml
    小麦粉…20g
    塩1g
    <作り方>
    1.【サクラエビと玉ねぎ】玉ねぎを薄切りに、青ネギは輪切りにして、サクラエビ3g、小麦粉10g、塩0.5gをボウルに入れます。
    2.【サクラエビとミックスベジタブル】ミックスベジタブルを軽く茹で、ザルに上げます。サクラエビ3g、小麦粉10g、塩0.5gと、水をよく切ったミックスベジタブルをボウルに入れ、軽く混ぜ合わせます。
    3.(1)と(2)それぞれのボウルに、水を少しずつ加えてよく混ぜます。水を入れ過ぎるとカラッとしたかき揚げにならないので気を付けましょう。
    4.(3)で作ったものをお玉や大きめのスプーンに載せ、170~180度に熱した油に入れたら両面を揚げて完成です。温度は低くなりすぎないようにしましょう。

    <栄養量>
    エネルギー:221kcal
    たんぱく質:6.9g
    食塩:1.2g
    カリウム:223mg
    リン:119g

引用:東京都病院経営本部

気を付けるポイント

腎不全期に気を付けておきたいのは、新たに加わるカリウムの制限。カリウムは、1日1,500mg以下に留めることが目標です。 日本人(成人)が1日に摂取するカリウム量は、男性2,400mg、女性2,200mg[1]。野菜・果物や豆類に豊富なカリウムは、腎臓が機能している場合は多く取りすぎても尿中に排泄される成分。意外と多くの食材に潜んでおり、無意識のうちに多く摂取してしまうので注意が必要です。

パセリやこんぶ・ひじきなどの食材や、インスタントや缶のコーヒーもカリウムを多く含んでいます。コーヒーは自分で煎じたものを、食後に1杯だけ飲むようにしましょう。[2]

まとめ

腎不全期に突入すると、今までの食事療法に加えて、カリウムや水分の制限をする場合があります。

カリウムはあらゆる食材に含まれているので、特に野菜やイモ類は小さく切り、水にさらすか茹でてから食べましょう。 水分量を調整する場合は、飲む水分量を計ります。料理で使われる水分量も考える必要があるので、できるだけ料理の水気は切りましょう。ただし、水分を制限しすぎると血液の量が少なくなってしまい、腎臓の働きが落ちてしまうので、指示された量はしっかり飲むようにしてくださいね。

食べ方だけではなく、栄養にも気を付けよう

腎不全期の場合、料理ではカリウムを落とし、水気を十分に切ってから食べるのがポイント。ただし、必要な栄養とエネルギーはしっかりと摂らなくてはなりません。食事のバランスを考えることで血糖値を下げ、腎症の進行を遅らせることができます。
制限は多くなりますが、摂りすぎをおそれて水分や栄養が足りなくなってしまうと、ますます体の働きが鈍ってしまいます。指示された制限を守りつつも最低限の量はしっかりと摂取しましょう。糖尿病の症状を改善する酵素やサポニンといった成分を取り入れてみるのもいいかもしれませんね。

[1]参考:[pdf]厚生労働省|平成25年 国民健康・栄養調査
[2]参考:腎臓ネット |特集:CKD食事療法「慢性腎臓病(透析患者を除く)の肩の食事療法の基本」