早期腎症で気をつけたい食事

早期腎症の食事療法

早期腎症期の食事療法

こちらでは、糖尿病腎症における「早期腎症」で取りたい食事について解説しています。

糖尿病は合併症を引き起こすリスクの高い病気です。その中でも、腎臓の機能が低下していく「糖尿病性腎症」の症状について解説しました。糖尿病の食事療法と違うところや、気をつけるべきポイントもまとめています。早期腎症は自覚症状がなく、症状も軽い方ですが油断は禁物。腎不全を防ぐためにも、しっかりと把握しておきましょう

食事コントロールをする前に-早期腎症期の状態とは-

早期腎症は、5期ある糖尿病性腎症のうち2期にあたります。糖尿病性腎症はなかなか自覚症状が現れないため、透析治療を受けなければならない段階まで気付きにくい病気です。できるだけ早く腎症を発見することが、腎不全を防ぐカギとなります。

早期腎症のアルブミン値・肝機能の目安は、以下の通りです。

尿タンパク値(g/gCr)あるいは
アルブミン値(mg/gCr)
微量アルブミン尿(30~299)
腎機能・GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
30以上

引用:一般社団法人 全国腎臓病協議会

1期では検査してもほとんど正常値が出るため、腎症であることを診断するのは難しいでしょう。2期でもやはり自覚症状はほとんどありませんが、微量アルブミン尿が認められるほか、血圧が高くなる方もいます。微量アルブミン尿と血圧上昇が認められた場合には、糖尿病性腎症の早期判断基準に基づいて鑑別診断を行ったうえで、早期腎症かどうかを判断します。[1]

尿検査や血液検査で早期腎症を見つけることは可能ですが、自覚症状がないだけに腎臓に負担をかけ続けても気付きにくく、どんどんと病気が進行しかねません。早期腎症の段階で糖尿病性腎症に気が付き、血糖コントロールと血圧の管理を行うことが大切です。

自覚症状がないのでなかなか治療に身が入りにくいものですが、腎症は進行するほど治療法が複雑になるため、早めの措置を講じなければなりません。 例えば腎症の進行によって血圧が上昇すると、腎臓内の血管にもダメージが及びます。また、たんぱく尿が出るのは腎症の特徴ですが、たんぱく質の排泄は腎臓に負担を強いるため、腎症を進行させる可能性も。腎症が悪化すれば腎不全となり、血液中の老廃物をうまく排出できずに中毒症状に陥る「尿毒症」の危険性が高まります。

早期腎症のうちに食事や運動に気を遣い、腎不全に陥らないような生活を送ることが大切です。

早期腎症期に優しい食事・食材

早期腎症の場合、塩分やカリウムに制限はほぼありませんが、腎臓に負担をかけるたんぱく質を摂りすぎるのは望ましくありません。 糖尿病腎症の人におすすめできるのは、キノコ類・海藻類・玄米等です。

キノコ類を混ぜることで、味・触感や量の面で満足感を得られる食事を作れます。海藻の水溶性食物繊維は、糖質の吸収を抑えてくれる働きも。また、血糖値を上げにくい低GI値の食材である、玄米や蕎麦もおすすめの食材です。

栄養バランスを意識した低たんぱく・減塩レシピ

  • キノコのスパゲティー

    数種類のキノコを使った、ちょっと贅沢でオシャレなスパゲティーです。

    <材料1人分>ブラウンマッシュルーム…60g
    ホワイトマッシュルーム…12.5g
    しいたけ…10g
    エリンギ…10g
    シメジ…10g
    スパゲティー…70g
    オリーブオイル…20cc
    ニンニク…1/2個
    タカノツメ…1/2本
    塩適量
    コショウ適量
    白ワイン…20cc
    水少々
    イタリアンパセリ少々
    ローリエ…0.5枚
    オリーブオイル…10cc
    <作り方>1.お湯を多めに沸かして、スパゲティーを茹でます。スパゲティー100gに対して、水1L・塩5gを入れましょう。お湯から上げたスパゲティーの塩分量はおよそ2gです。
    2.ブラウンマッシュルームを、包丁でやや粗めのミンチにします。
    3.ホワイトマッシュルーム・シメジ・エリンギ・シイタケは、2~3cmほどの大きさに切ります。
    4.フライパンにオリーブオイル・ニンニク1/2個・タカノツメ1/2本を入れます。ニンニクがきつね色になってきたら(2)と(3)のキノコ類を入れ、塩とコショウを入れて強火で炒めます。
    5.ローリエを入れて20分ほど弱火にかけます。
    6.フライパンのタカノツメを取り、白ワイン(20cc)と水を加え、軽く煮る。
    7.スパゲティーを(6)に加えて軽く絡めたあとに器に盛り、イタリアンパセリの葉を刻んで載せたら完成です。
    <栄養量>
    エネルギー:559.75kcal
    たんぱく質:12.75g
    食塩量:1.5g
  • ハマグリの土鍋ごはん

    ハマグリと春の緑野菜をふんだんに使い、土鍋で炊き上げたご飯です。

    <材料1人分>ハマグリ…60g
    お酒…90cc
    ソラマメ…20g
    フキ…20g
    白米…100g
    水…100cc
    昆布…10g
    薄口醤油…1cc
    <作り方>1.フライパンにハマグリとお酒を入れ、貝殻が開くまで2分ほど蒸します。
    2.貝殻が開いたら身を取り除きます。(1)のだしは取っておきましょう。
    3.土鍋に白米・水・昆布・薄口しょうゆ・(2)のだしを入れて炊きます。
    4.フキを切り、沸騰したお湯で2分ほど茹でます。フキが茹で上がったら皮を剥いて筋を取り、輪切りにします。
    5.ソラマメをさやから取り出して薄皮を取ったら、600Wのレンジで30秒ほど加熱します。
    6.(3)が炊き上がったら火を止め、(2)のハマグリ、(4)のフキ、(5)のソラマメを入れて10分ほど蒸らしたら完成です。
    <栄養量>
    エネルギー:386.0kcal
    たんぱく質:11.0g
    食塩量:1.7g

引用:東京都病院経営本部

気を付けるポイント

早期腎症は自覚症状がないので、つい食事療法を怠りがち。この段階では食事にほとんど制限はありませんが、たんぱく質や塩分の摂りすぎは禁物です。

早期腎症の段階から糖尿病食が基本です。糖尿病性腎症は、5段階に分かれていますが確実に5期まで進行すると決まっているわけではありません。特に早期腎症の場合は、しっかり血糖コントロールをすれば、腎不全を予防できるのです。しっかり食事療法を行い、腎症を進行させないようにしましょう。

まとめ

早期腎症期でも、引き続き通常の糖尿病食で様子を見ます。この段階では食塩とカリウムを制限する必要はありませんが、血糖コントロールとたんぱく質制限は続けましょう。ただたんぱく質の摂取量を減らすのではなく、体を維持するエネルギーは十分に摂りつつ良質な動物性たんぱく質を摂取することが大切です。

早期腎症からきちんと食事療法を行えば、腎臓が回復する可能性もあります。食材をうまく組み合わせて、血糖値とたんぱく質をうまくコントロールしていきましょう。

食べ方だけではなく、栄養にも気を付けよう

腎症では、食べ方だけではなく栄養バランスにも気を付ける必要があります。例えばたんぱく質を摂りすぎてはいけませんが、単にたんぱく質を減らすだけではなく、炭水化物や脂質など、一見すると控えたほうが良さそうな栄養を摂取して、体のエネルギーを維持する必要があるのです。

食事やサプリメントで日々の栄養を補い、腎不全にならないよう心がけましょう。

[1]参考:[pdf]日本糖尿病学会・日本腎臓学会:糖尿病性腎症の新しい早期判断基準