顕性腎症期の食事療法

第3期(顕性腎症期)の食事療法

顕性腎症期の食事療法

糖尿病腎症における「顕性腎症期」の食事療法についてまとめました。

合併症のひとつである腎症は、自覚症状がなくどんどん進行していきます。早めに腎症だと気づいて食事療法を取り入れれば、腎臓の機能は回復していきます。こちらでは、糖尿病の食事療法と異なる点や、気をつけるべきポイントも解説。腎臓に負担をかけない食事のために、ぜひ参考にしてくださいね。

食事コントロールをする前に-顕性腎症期の状態とは-

顕性腎症期は、糖尿病性腎症の第3期にあたります。尿中にたんぱく質が出てくる量が増え、腎機能がますます低下していくのが特徴です。

アルブミン値と肝機能の目安は以下の通りです。

尿タンパク値(g/gCr)あるいは
アルブミン値(mg/gCr)
顕性アルブミン尿(300以上)
腎機能・GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
30以上

引用:一般社団法人 全国腎臓病協議会

第3期(顕性腎症期)に入ると、厳格な血糖コントロール・血圧の管理をしながら、たんぱく質や塩分をコントロールしつつ適正なエネルギー量を確保します。むくみや心不全の有無によっては、水分を制限しなければなりません。

また、第3期は前期・後期に分かれています。

前期は、たんぱく尿が認められますが、肝機能はまだ正常に動いている時期です。摂取エネルギー量は第1期・第2期(早期腎症)のときと変わりませんが、たんぱく質の摂取量を0.8~1.0g/kg/日と軽く制限する必要があります。

後期は、たんぱく尿が続いて肝機能が低下している状態です。前期と同じくたんぱく質の摂取量を0.8~1.0g/kg/日まで落とすほか、エネルギー不足でたんぱく質が分解されないように、十分に脂質や炭水化物を摂取する必要があります。

顕性腎症期には合併症として高血圧がかなりの割合で見られます。高血圧でなくても、体の塩分濃度が高いと、濃度を下げるために体が余分な水分を溜めこみ、むくんでしまうことも。たとえ高血圧の傾向が見られなくても、第3期に突入したら塩分摂取量を1日7~8gまで落とします。

顕性腎症期に優しい食事・食材

スパゲティーやマカロニにはたんぱく質が含まれますが、はるさめはでんぷん食品なのでたんぱく質がありません。満腹感を得るために、はるさめをサラダとあえたり、揚げて付け合わせとして添えたりなど、さまざまな料理に使えるので、低たんぱく食でもしっかりと満腹感を味わわせてくれる食材です。

また、第3期になると、いよいよ塩分制限が本格的に始まります。

おいしく減塩するためには、減塩の調味料を使う、レモン・香辛料を上手く使って塩味をうまくカバーすると良いでしょう。表面だけに味付けをするのもおすすめです。

栄養バランスを意識した低たんぱく・減塩レシピ

  • ブリ大根

    ブリはたんぱく質が多いので少なめにして、代わりにこんにゃくとあえることで満足感のある一品に。塩の代わりにショウガを使って味を調えます。緑の野菜であるさやえんどうがちょっとした彩りを添え、食欲をそそります。

    <材料1人分>
    ブリ…45g
    大根…60g
    こんにゃく…40g
    さやえんどう…10g
    だし汁…100g
    砂糖…4g
    しょうゆ…7g
    しょうが少々
    <作り方>
    1.ブリを2切れに切ります。
    2.大根はいちょう切りにして15分茹でます。湯で終わったらサッと水にさらした後、水気をきります。
    3.こんにゃくを茹でて8mm程度の大きさに切ります。中心に切り込みを入れ、こんにゃくの端を切り込みの中に通して「手綱こんにゃく」にします。
    4.さやえんどうの筋を取ってから、軽く茹でます。茹で上がったら水にとって冷ましてから、水気をきります。
    5.鍋にだし汁・砂糖・しょうゆ・しょうがのせん切りを入れて火にかけ、(2)の大根と(3)のこんにゃくを加えます。煮立ったらアクを取りつつ(1)で切り分けたブリを加え、さらに10~12分ほど煮ましょう。
    6.(4)のさやえんどうを加えてひと煮立ちさせたら、器に盛りつけて完成です。
    <栄養量>
    エネルギー:154kcal
    たんぱく質:11.1g
    食塩量:1.2g
  • ピーマンの肉詰めフライ

    ピーマンの肉詰めを油でカラッと揚げた一品。肉のつなぎに片栗粉を使うことで、たんぱく質を抑えています。練り辛子やスプーン一杯のとんかつソースを添えて味のアクセントに。

    <材料1人分>
    ピーマン…30g
    合挽き肉…40g
    たまねぎ…20g
    片栗粉…3g
    塩…0.4g
    こしょう少々
    小麦粉

    パン粉
    揚げ油
    とんかつソース…6g
    練り辛子少々
    <作り方>
    1.玉ねぎ・合挽き肉・片栗粉・塩・故障を混ぜ合わせます。玉ねぎはみじん切りにしておきましょう。
    2.ピーマンを半分に切り、種を取り除いて内側に軽く小麦粉をまぶします。
    3.(1)でつくったタネを(2)のピーマンに詰めます。小麦粉、卵、パン粉の順番で衣をつけ、170度の油でカラッと揚げます。
    4.とんかつソースと練り辛子で味を調えれば完成です。
    <栄養量>
    エネルギー:257kcal
    たんぱく質:10.3g
    食塩量:0.9g

引用:東京都病院経営本部

気を付けるポイント

塩分が多いものといえば、やはり麺類。「麺類の汁は残してください」と医者から指示されている方もいるかもしれません。お店によって差はありますが、麺類の汁に含まれている塩分は、なんと6g。顕性腎症期の塩分摂取量は7~8gまでと決められていますから、麺類の汁を飲み干すだけでほぼ1日分の塩分を摂取してしまうことになります。顕性腎症期に入ったら、特に塩分の摂りすぎには十分に注意しましょう。

食事療法と一緒に運動療法を取り入れている方もいるかと思いますが、顕性腎症の後期に入った方で、血清クレアチニンが男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上の方は運動療法が禁止されているので注意しましょう。

まとめ

顕性腎症期の前期までは、しっかり食事療法を取り入れて腎臓をいたわり、糖尿病の治療を続けることで腎機能が回復する可能性があります。後期に突入すると回復が難しくなり、腎不全を遅らせるための処置を取らなくてはなりません。

たんぱく質と塩分のバランスに気を付けながら量や味付けを工夫し、血糖値や血圧をコントロールしていきましょう。

食べ方だけではなく、栄養にも気を付けよう

顕性腎症期になるとたんぱく質の摂取を制限する一方で、25~35kcal/kg/日のエネルギーを確保する必要があります。体内のエネルギーが足りなくなると、体はたんぱく質を分解してエネルギーに変換してしまいます。たんぱく質が分解されると老廃物が出てしまい、腎臓に負担がかかってしまうことも。

塩分とたんぱく質を抑えつつも、エネルギーをしっかり取ることが大切です。不足しがちな栄養はサプリメントで補うなど、バランスの良い食事を心がけましょう。