心筋梗塞と糖尿病の関係性

【医師監修】心筋梗塞の原因と糖尿病との関係性

Supervision糖尿病と心筋梗塞の関係性

監修医師

監修医師情報

上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野 尚彦先生

糖尿病が心筋梗塞を引き起こす?

糖尿病と心筋梗塞の関係性

心臓は、心臓の筋肉「心筋」が動いて心臓を動かしています。その心筋に血液、つまり栄養を送っているのが冠動脈と呼ばれる血管です。

心筋梗塞は、その冠動脈で動脈硬化が起こり、そこに血栓ができて血流がストップし、心臓を動かせなくなる病気です。

糖尿病になると、血液中のブドウ糖の量が増え(血糖値の上昇)、血液がドロドロになります。すると、血液が流れにくいだけでなく、固まりやすい状態となり、血栓ができるリスクが増加。つまり、心筋梗塞が起こりやすい状態となるのです。

また、高血糖は動脈硬化の進行スピードを速める要素のひとつ。血糖値をきちんとコントロールしないと動脈硬化がどんどん進み、心筋梗塞が発生する確率も高まっていきます。

心筋梗塞の病状

心筋梗塞を発症すると、胸周辺(みぞおち・腹部を含む広範囲)の圧迫感や痛み、肩・背中・首などの激しい痛みが30分以上にわたって続きます。

あまりの痛みに呼吸困難となり、息切れ・不整脈・冷や汗・脂汗・吐き気・胃痛・顔面蒼白といった症状も現れ、最悪の場合はそのまま死亡することもあるのです。

心筋梗塞には起こりやすい時間帯があり、早朝(午前6時~8時)と夜間(午後8時~10時)となっています。疲労・脱水・睡眠不足・アルコールの摂取・温度変化などが引き金となることもあるため、日頃からの健康管理、とくに糖尿病の人は血糖値コントロールが重要です。

心筋梗塞と思われる症状が出た場合は、様子を見たりせず、すぐに救急車を呼ぶのが正解。放っておくと心筋の壊死が起こり、手遅れになってしまいます。

心筋梗塞の末路

糖尿病を発症している場合は、心筋梗塞になる確率も非常に高くなるので注意が必要です。

心筋梗塞が起こると、発作から15分程度で心筋に壊死が起こり始めます。症状が進行するとショック症状が起こり、チアノーゼ・血圧低下・意識障害などが発生。2時間後には、心筋が完全に機能を停止してしまいます。

治療によって心筋梗塞の発作が治まったとしても、壊死した心筋細胞はほぼ再生されません。その結果、心拍が乱れやすくなる、収縮・拡張の力が弱まるなどの後遺症に悩まされることになります。

心筋梗塞の後遺症の程度は、発作から治療までのスピードに左右されます。疑わしい症状が見られたらすぐに救急車を呼ぶのが正解ですが、糖尿病性の神経障害があると痛みに気づきにくく、手遅れになることがあります。

心筋梗塞に陥る方は、危険因子とも呼ばれる、さまざまな合併症を持ち合わせているとされています。中でも、糖尿病は多くの割合を占めています。現に、アメリカのマサチューセッツ州のフラミンガムで行われた危険因子と心臓病の関係を調査した研究によると、糖尿病を持っている人は、心筋梗塞が起こる確率が高くなることが報告されています。

また、糖尿病を持っていることで、心筋梗塞のほかに、動脈硬化も生じやすくなります。糖尿病を持っていない人に比べると、高確率で動脈硬化が起こるということが分かっています。特に、足の動脈硬化症(閉塞性動脈硬化症)の発生率は高く、これが進行すると、足に痛みが生じるようになります。さらに、重篤化すると潰瘍などができ、足を切断しなければならなくなることもあり得えるのです。また、東京の虎ノ門病院が行った研究データにも、糖尿病の罹病期間が長くなるほど、足の動脈硬化症に陥る確率が高いということも示されています。

[1]

一方、糖尿病の合併症があると、動脈硬化の進行も早くなるといわれています。なぜなら、糖尿病は、自覚症状がはっきりと現れることが少ないからです。糖尿病の自覚症状には、以下のようなものが挙げられます。

  1. 喉が渇きやすくなる
  2. トイレが近くなる
  3. 倦怠感が出る
  4. ケガが治りにくくなるなど

しかし、上記のような症状は、糖尿病がある程度進んだ場合に出現するとされています。実際に、糖尿病の初期では、約4割の方が受診するまで自覚症状がなかったということが、厚生労働省の調査で示されています。また、病院受診のきっかけも、人間ドックや健康診断を受けた際に、血糖値が基準よりも高い数値を示したということで、医師に注意を促され、発見されるケースがとても多いのです。

また、健康診断などで治療が必要だという診断がなされたものの、病院を受診しなかったり、受診しても治療を続けずに放置する方が約4割いるということも分かっています。このデータは、2011年6月の健康日本21推進フォーラムの調査で報告されています。[2]

このような結果になるのも、糖尿病は初期症状が乏しいため、危機感を感じられないからだと考えられますが、このまま放置をし続けると、手足のしびれや麻痺などが生じる「神経障害」や視力が落ちる「網膜症」。腎機能が低下し、人工透析が必要になることもあります。

しかし、糖尿病は早期に発見し、血糖コントロールを行うことで合併症が予防できることが認められていることから、定期健診の受診と早期治療が重要となると言えます。

生活習慣を見直して動脈硬化を防ごう

心筋梗塞を予防するには、動脈硬化を進行させる糖尿病・脂質異常症・高血圧などをしっかりと治療することが大事。どれも自覚症状に乏しい病気ばかりですが、こまめな検査によって早期に気づくことができれば、生活習慣の見直しによる血糖コントロールで改善へと導くことが可能です。

監修医師

ここまでの監修をしてくれたのは

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上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野尚彦先生

栄養バランスを整えて血糖値を安定させよう

心筋梗塞は突然発症するものなので、日頃からの予防意識が大事。とくに糖尿病に罹患している場合はリスクが高くなるため、食事と運動による基本の治療を欠かさないようにしましょう。

なかでも、食事療法は重要です。栄養バランスのよい食事・サプリメントの利用によって血糖値が安定すれば、動脈硬化・心筋梗塞のリスクを大幅に減らすことができます。

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糖尿病は、血液中のヘモグロビンA1c と血糖値が継続して高くなる病気。つまり、糖尿病の治療は、この2 つの数値をいかに下げるかにポイント。

現在、ヘモグロビンA1c と血糖値を下げる効果があるとされる成分や糖尿病の症状改善に研究されている成分があります。糖尿病の改善に有効とされる成分を栄養バランスに加えて、取り入れることをオススメします。

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参考文献

[1]参考:『国立循環器病研究センター循環器病情報サービス[21]動脈硬化』

[2]参考:『糖尿病診療のベーシック~インスリンをめぐって~「糖尿病における足病変と動脈硬化」』小田原雅人,2009

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