糖尿病と睡眠障害、不眠の関係性

【医師監修】目覚めや寝つきが悪い睡眠障害や不眠は、糖尿病のサイン?

Supervision目覚め・寝つきが悪いのは糖尿病のサインかも

監修医師

監修医師情報

上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野 尚彦先生

目覚めが悪い・寝つきが悪いといった症状は、糖尿病が原因となっていることがあります。一見、糖尿病とは関係のなさそうな症状ですが、悪化すると命にかかわる重篤な疾病を引き起こすこともあるのです。

糖尿病による睡眠障害はなぜ起きる?

  • 症状

    「夜なかなか寝つけない」「朝の目覚めが悪い」といった症状はよくあることです。しかし、「夜中に何度もトイレに行くのでよく眠れない」「寝ている間でも、のどが渇いて起きてしまう」「足がしびれるのでよく眠れない」などの原因で不眠となっている場合は、糖尿病の可能性があります。
  • 原因

    糖尿病の患者の約半数の方が、不眠や睡眠障害に悩んでいるという事実があります。なかには、糖尿病で睡眠中に血糖値が下がり過ぎてしまうことを恐れて眠れない…という精神的な問題を抱えている方もいます。

    一般的に、血糖値は日中起きているときに上昇し、寝ているときには下がります。

    しかし、十分な睡眠時間をとれなかったり、寝ても眠りが浅いなどの睡眠障害を起こしている場合、血糖値が十分に下がらないどころか、インスリンの働きまでもが悪化(インスリン抵抗性)。血糖値がさらに高くなってしまい、糖尿病が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。

    つまり、血糖値コントロールが適切にできていないと、睡眠障害が起こりやすくなるということです。
  • 末路

    糖尿病によって睡眠障害になると、起床時に血圧が急上昇する「早朝高血圧」になりやすくなります。早朝高血圧になると脳梗塞・脳血栓症などの血管障害が起きやすくなり、命にかかわることもあるのです。

    この情報は、代謝内分泌病態内科学の稲葉教授を中心とするグループによって明らかにされており、科学雑誌「PLOS ONE(2015年・4月発行)」にも掲載されています。

    睡眠障害がある場合、とくに早朝の脳・心臓発作が心配。朝、起きた直後に発作を起こし、そのまま倒れてしまうケースも少なくありません。血管障害が起きた部位によっては、体に麻痺が残ったり、死亡する可能性もあります。
  • 対策

    寝つきが悪い・目覚めが悪いという症状が糖尿病によって起きている場合は、血糖値を適切なレベルでコントロールすることが第一。その基本となるのが、生活習慣の改善です。

    睡眠の質を高めたいなら、まず毎日の睡眠サイクルを整えることから始めましょう。決まった時間に就寝し、決まった時間に起床する、これを繰り返すことで徐々に体がリズムに慣れ、睡眠の質が高まっていきます。夜型の生活は避けましょう。日中に運動をして、適度な疲労感を与えるのも有効です。
    入浴は、寝つきを良くする方法のひとつですが、寝る直前に入るのはNG。体温が高くなると眠りにくくなるため、就寝の1時間前には入浴を済ませておくようにします。

    また、寝る前にスマホやパソコンを使うと、光の刺激で脳が興奮して眠りにくくなります。そのため、こちらも就寝の1時間前から使わないようにすると◎。寝室の照明も適度に落とし、眠りやすい環境を整えましょう。
監修医師

ここまでの監修をしてくれたのは

監修医師情報

上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野尚彦先生


睡眠障害の改善は血糖値コントロールが基本

不眠・睡眠障害と血糖値には密接な関係があるため、睡眠の質を高めるには、まず血糖値をコントロールすることが重要です。

糖尿病における血糖値コントロールの基本は、バランスの良い食事と適度な運動。食事に気を配れば血糖値の急上昇を防ぐことができますし、運動で体を動かすことは血糖値を下げるのに有効です。

もし、多忙でなかなか食生活の見直しを継続的に出来ていない場合、必要な栄養素をサプリで摂取するのもひとつの方法。上手に使えば、糖尿病の改善・予防効果がアップします。

糖尿病患者と予備軍が増加している現状

近年、日本のみならず世界各国で糖尿患者とその予備軍が増加傾向にあります。国際糖尿病連合の統計によると、2世界の糖尿病患者数は、2017年で4憶2,500万人とのこと。2015年の計測時より約1,000万人も増えており、11人に1人が糖尿病患者という推定がされているのが現状です。そういった中で、世界で糖尿患者が多い国の順位をまとめてみると、以下のようになります。

  1. 中国(1億1,400万人)
  2. インド(7,300万人)
  3. アメリカ(3,000万人)

上位の国を見ると、人口の数に比例して、糖尿病患者やその予備軍は増えてきていると捉えていいでしょう。日本は、上位10位以内には入っていないものの、65歳以上の糖尿病患者の数が多いと言われています。

2017年には、65歳以上の糖尿病患者の数は世界で6位。実に430万人もの糖尿病及び糖尿病予備軍がいます。一見、上位の国と日本の糖尿病予備軍の数を見比べると、65歳以上の430万人という割合は少ないように映るかもしれません。

しかし、糖尿病患者数2位であるインドの総人口数が13億2,400万人であるのに対し、日本の総人口はわずか1億弱です。人口の割合で見るとインドは5.29%、日本はおよそ4.3%。日本は、上位の国と変わらないほど糖尿病患者や糖尿病予備軍の数が多いということが分かります。

厚生労働省が発表した「平成28年 国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる人は日本人の12,1%、約1,000万人以上と推計されています。この人数を除いて、糖尿病予備軍と思われる人は約1,000万人と言われているのが現状です。平成9年以降、糖尿病患者および予備軍は増加傾向にあったのですが、平成19年に導入された特定健康診査(メタボ健診)で減少傾向にあるとのこと。減少傾向ではありますが、依然として上位各国に引けをとらないぐらい糖尿患者および予備軍は多いと言えるかもしれません。

そんな糖尿病ですが、患者の半数以上に睡眠障害があることが研究結果から分かりました。この結果から、睡眠の質と糖尿病はつながっている可能性が非常に高いといえます。

睡眠時間が短いと糖尿病に2~3倍なりやすい事実

欧米では、6,000人以上の中年男性を対象に15年間追跡調査を行ってきました。そこで明らかになったのは、不眠がある人はない人に比べて糖尿病を発症するリスクが1.5倍に上がったということ。日本で行われた調査でも同じような結果になっています。

糖尿病ではない男性約8,000人を対象に8年間追跡調査したところ、寝つきが悪い人はそうでない人に比べて糖尿病を発症するリスクが3倍。夜中に目が覚めてしまう中途覚醒の人はそうでない人に比べて2.3倍に上昇すると結果が出ています。

また、睡眠時間も糖尿病の発症率に関連がある可能性が高いようです。約1,500名を対象に行った、平均睡眠時間と糖尿病の関係を調査した研究においては目を背けたくなるような結果が出ています。睡眠時間が平均6時間以下の人は1.7倍。5時間以下では、2.5倍に糖尿病有病率が上昇するとのこと。睡眠時間が短いほど、糖尿病の発症率が高くなる可能性があると言えます。

一方、睡眠時間が長くても糖尿病を発症する人が多いのも事実。研究で結果では、9時間以上眠っている人では1.8倍の糖尿病有病率でした。眠りが短すぎても長すぎても良くないことが分かります。睡眠時間が5時間以下の人限定で、不眠障害がある人とない人に分けて2つのグループにしても、両者の糖尿病発症リスクに大きな差はありません。

このことから、不眠障害だけでなく、仕事や趣味のために睡眠時間を削っている人も、不眠症の人と同様に同じ糖尿病になりやすいと言えるでしょう。紹介した実験データをもとに、睡眠時間は6~8時間確保するのが望ましいでしょう。睡眠時間が5時間以下の人は睡眠時間が7~8時間の人に比較して糖尿病発症の危険率が2.5倍に上昇するという研究データが出ているためです。[1]

まとめ

「仕事なので睡眠不足は仕方がない」と割り切っていては、健康な体は手に入りません。糖尿病の初期症状には、食事療法や運動療法に加えて睡眠療法も大切な柱として認識しておくことが大切です。しかし、睡眠の質を高めるために睡眠のサイクルを変えることは難しいですよね。毎日決まった時間に就寝と起床を繰り返すことで少しづつ体を慣れさせていくほうが望ましいでしょう。

参考文献

[1]参考:『生活習慣病と睡眠障害』筒井末春,2008

糖尿病の症状改善に研究されている成分はコチラ

糖尿病は、血液中のヘモグロビンA1c と血糖値が継続して高くなる病気。つまり、糖尿病の治療は、この2 つの数値をいかに下げるかにポイント。

現在、ヘモグロビンA1c と血糖値を下げる効果があるとされる成分や糖尿病の症状改善に研究されている成分があります。糖尿病の改善に有効とされる成分を栄養バランスに加えて、取り入れることをオススメします。

糖尿病改善のために研究されている成分を詳しく知る

当サイトのご利用にあたって

当サイト(糖尿病の末路 初期症状から末期症状まで、危険な合併症の解説と改善・対策・予防ガイド)は、私たち「糖尿病を食から考える会」が運営する、糖尿病に関する情報をわかりやすくまとめたサイトです。当サイトには、できるかぎり最新の、信頼性の高い情報を掲載する心掛けております。ただし、その内容の正確性・安全性について完全に保証できるものではありません。掲載情報の活用については自己責任でお願いいたします。万が一、当サイトの情報によって何らかの損害が発生した場合には、各種専門機関にご相談ください。

糖尿病を食から考える会について