皮膚のかゆみと糖尿病の関係性

【医師監修】皮膚の乾燥やかゆみは糖尿病の症状?!

Supervision皮膚のかゆみ・乾燥は糖尿病が原因かも

監修医師

監修医師情報

上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野 尚彦先生

肌がかゆい・乾燥するといった症状は、日常的に見られるものです。しかし、なかには糖尿病が原因となっているケースがあるため、油断は禁物です。ここでは、どのような症状が現れるのか、悪化するとどうなるのかといった、気になる情報をまとめています。

糖尿病による皮膚のかゆみはなぜ起きる?

  • 症状

    肌がかゆいという現象は、誰にでも良くあることです。しかし、糖尿病の症状のなかにも、皮膚の乾燥・かゆみ・かさつきといった症状があるのです。自覚しにくい糖尿病の症状のなかでも、比較的早期に現れると言われています。

  • 原因

    糖尿病で多尿・頻尿の症状が現れている場合、脱水症状で体の水分が少なくなっていることがあります。その結果、肌が乾燥し、かゆみが発生します。

    かゆいところがあると、どうしても無意識のうちに掻いてしまいますが、糖尿病を発症している場合は皮膚の免疫力が低下しているため、掻くことで肌を傷つけ、そこから細菌に感染してしまうことがあります。これを皮膚感染症といい、とびひ・たむし・カンジタ症・水虫などが挙げられます。

    また、自律神経障害が起こっている場合は、異常な汗で皮膚が刺激されたり、汗がまったく出ないことにより、乾燥・かゆみが起こる場合もあるようです。

  • 末路

    糖尿病になると、さまざまな原因で皮膚のかゆみ・乾燥が起こります。通常であれば、少しくらい掻いて傷ができてもすぐに治癒しますが、糖尿病の場合は深刻です。

    糖尿病によって免疫力がダウンしているときに傷ができると、そこから細菌・ウイルスが侵入して皮膚病を発症。代謝が悪く治癒しにくいうえ、感覚も鈍くなっているため、気づかないうちに症状が悪化してしまいます。最悪の場合壊疽(えそ)を招き、四肢を切断するという事態も考えられるのです。

    とくに、足の傷は本人だけでなく家族も気づきにくいため、発見したときには手遅れというケースもあります。水虫・靴擦れ・虫刺されの傷などには、注意を払う必要があるでしょう。

  • 対策

    血糖コントロール

    糖尿病患者の肌の乾燥や、かゆみから起きる感染症を防ぐために血糖のコントロールは必須です。血糖値が上昇することで、糖尿病が悪化し免疫力が低下。よって感染症のリスクが高くなるといった悪循環につながります。血糖値を正常にコントロールして免疫力を上げ、感染症にならないように予防することが大切です。血糖値のコントロールには3つの方法があります。

    1. 薬物療法(インスリン注射)
    2. 食事療法(適正なカロリー計算に基づいた食事管理)
    3. 運動療法(血糖値を下げる運動)

    医師と相談したうえで、3つの方法をうまく組み合わせて血糖値をコントロールしましょう。

    皮膚への刺激を極力抑える

    皮膚にかゆみを感じるときは、それだけ皮膚が敏感になっている状態。このような状態の体に、かいたり擦ったり刺激を与えると、逆効果になります。皮膚に刺激を与えないように以下に対処法をまとめました。

    かゆみへの対処法

    むやみに触らず、強くかいたりこすらないようにしましょう。乾燥によるかゆみの場合は、保湿ジェルやローション、クリームなどで皮膚に水分を与えて潤してください。患部に炎症を起こしている、または化膿している場合は、速やかに医療機関で診察を受けるようにしましょう。

    皮膚への配慮

    清潔を保つため毎日入浴するようにしましょう。かゆみや痛みがある場合は、シャワーだけでもOKです。ボディソープはなるべく低刺激のものを使用して強く洗いすぎないように注意してください。乾燥する季節は、部屋で加湿器を使用したり、肌にクリームを塗ったり保湿を心がけましょう。外出時は、紫外線をさけるように過ごしてください。肌の露出は極力控えて、日焼け止め対策をきちんとしましょう。

    感染症の予防

    水虫対策として、バスタオルや足ふきマットなど、家族や他の方と共有しないでください。大浴場やプールなど、不特定多数の人が出入りする場所は極力避けましょう。外出先から帰したら、手洗いとうがいを行なってください。手足は指の間まで入念に洗いましょう。人込みではマスクを着用してください。

監修医師

ここまでの監修をしてくれたのは

監修医師情報

上野内科・糖尿病内科クリニック
院長

上野尚彦先生

糖尿病と皮膚のかゆみの関係

糖尿病になると、血糖値の上昇とともに皮膚にかゆみが出る場合があります。

糖尿病が進行すると、神経障害や脱水(頻尿・多尿による)などから皮膚に水分が少なくなり、乾燥肌が進みます。乾燥肌により皮膚のバリア機能が失われると、かゆみや肌荒れといったトラブルにつながりやすくなります。

糖尿病と皮膚病は一見結びつきにくいものですが、症状が進むと潰瘍や壊疽を起こすこともあるため、皮膚の変化には注意が必要です。

糖尿病になると、顔や手足などから始まって皮膚のさまざまな部分にトラブルが起こりやすくなります。

初期の段階で早めに気づくことが重要ですが、初めは肌に軽いかゆみ、乾燥、ひび割れ、うおのめ、タコ、むくみなどが出るため、糖尿病の症状と結びつきにくいのも特徴的です。

糖尿病の初期症状の段階から血糖コントロールを適切に行うことが重要です。万が一血糖コントロールがうまくいかない場合、皮膚病が重症化する可能性があり、皮膚への感染症などのおそれが出てきます。

糖尿病による皮膚病のセルフチェック

  1. 皮膚が乾燥しやすくなった、またはかゆみがあるといった場合。
  2. 肌色が変色していたり、おかしな色になっている。
  3. 水虫などの感染症があり、悪化している。
  4. 靴ずれ、タコ、ウオノメなどができている。
  5. 傷が治りにくくなった。
  6. 皮膚の感覚がない

これらの症状はすべて糖尿病の代表的な皮膚病の症状です。

乾燥肌やかゆみなどは糖尿病以外の原因も考えられますが、感染症や傷の治りにくさなどは糖尿病がある程度進行している状態で発症するものであるため、血糖値のコントロールが必要となります。

糖尿病患者が併発しやすい感染症について

細菌性

外耳炎、膿瘍、とびひ、蜂窩織炎(皮膚の深い下層が化膿し炎症を起こすこと)

真菌性

真菌性皮膚疾患(白癬菌による水虫、たむし)、皮膚カンジダ症、頻尿器系カンジダ症

足病変

足病変は、足にできる潰瘍や壊疽の部分を表しています。原因は、神経障害、血流障害、感染症などさまざまな要素が複雑に合わさって引き起こす症状です。重篤になると足の一部の切除をしなくてはいけないケースもあるほど、危険な状態と言えます。

皮膚感染症、足疫病変のどれも、放置しておと深刻な感染症を引き起こすおそれがあります。皮膚に違和感を感じた場合は、一刻も早く医療機関で診察を受けるようにしてください。

かゆみの危険性について

健康的な体の人であれば、ちょっとしたかゆみであれば特に問題はありません。しかし、糖尿患者にとってのかゆみは、多くの危険と隣り合わせです。糖尿病患者は、健康な人に比べて免疫力が落ちています。その状態のまま、肌をかいて傷つけてしまうと、そこから細菌が侵入して感染症を引き起こすことになりかねません。特に糖尿病で肥満傾向にある方は、日常生活をしていくうえで注意するべきポイントが多くあります。

代表的なのがわきの下や股擦れ。肌同士が擦れ合うことで傷ついて細菌が感染する恐れがあります。他にも、靴による摩擦や蒸れで傷やかゆみを起こしやすい足も要注意です。さらに、入浴時に体を強く洗ってしまったり日常生活の中で、皮膚を傷つける可能性は複数あります。糖尿病患者のかたで、かゆみがある場合は、無意識に皮膚をかいてしまう前に、医師の相談を受けるようにしましょう。

皮膚病の予防方法

糖尿病による皮膚病は、初期の段階から血糖値を安定化させ、食事に注意して運動を習慣づけるなどして、健康維持につとめることで改善できます。

皮膚病の治療だけをしていても、高血糖状態を改善しないかぎり症状の進行を止めることは難しく、日常生活での血糖コントロールが最善の治療法・予防法となります。

糖尿病の皮膚病の対処法

血糖値をコントロールすると同時に、皮膚は常に清潔に保ちましょう。傷ができたら放置せず、薬を塗って傷口を塞ぎ、感染症を防ぎます。

入浴は基本的に毎日行いますが、ゴシゴシ洗いは乾燥肌を悪化させる可能性があるため、優しく洗うようにします。

入浴が難しい場合はシャワーを使っても問題ありません。体に使うボディソープは低刺激のものがおすすめです。

参考文献

ジョンソン・エンド・ジョンソン 糖尿病ハンドブック 糖尿病患者さんのスキンケア習慣

特別講演 糖尿病患者の神経障害

柏戸病院 糖尿病通信

かゆみ対策は内面からのケアも大事

糖尿病による肌のかゆみを改善・予防するには、皮膚の保護や再生に役立つ成分を意識的に摂ると良いでしょう。

健康な皮膚づくりに役立つのはビタミンですが、そのなかでもビタミンA・ビタミンCは積極的に摂取するのがおすすめ。また、体のベースとなる良質なたんぱく質も必要となります。

こういった成分は食事から摂取するのが最善ですが、現役世代は毎日の食事で完璧に栄養バランスを整えるのは至難の業。サプリメントや健康食品を利用し、不足しやすい栄養素を補っていくと良いでしょう。

栄養バランスを整え、体の内側からしっかりとケアできれば、徐々に皮膚のかゆみも治まっていくはずです。

糖尿病の症状改善に研究されている成分はコチラ

糖尿病は、血液中のヘモグロビンA1c と血糖値が継続して高くなる病気。つまり、糖尿病の治療は、この2 つの数値をいかに下げるかにポイント。

現在、ヘモグロビンA1c と血糖値を下げる効果があるとされる成分や糖尿病の症状改善に研究されている成分があります。糖尿病の改善に有効とされる成分を栄養バランスに加えて、取り入れることをオススメします。

糖尿病改善のために研究されている成分を詳しく知る

当サイトのご利用にあたって

当サイト(糖尿病の末路 初期症状から末期症状まで、危険な合併症の解説と改善・対策・予防ガイド)は、私たち「糖尿病を食から考える会」が運営する、糖尿病に関する情報をわかりやすくまとめたサイトです。当サイトには、できるかぎり最新の、信頼性の高い情報を掲載する心掛けております。ただし、その内容の正確性・安全性について完全に保証できるものではありません。掲載情報の活用については自己責任でお願いいたします。万が一、当サイトの情報によって何らかの損害が発生した場合には、各種専門機関にご相談ください。

糖尿病を食から考える会について